陸上自衛隊による国内最大の実弾射撃訓練「富士総合火力演習」(総火演)が先月27日、東富士演習場(静岡県御殿場市など)で公開された。

入場者数は約2万4000人。年に一度のイベントは毎年大人気で、入場券の当選倍率は29・3倍に達したそうだ。

私も午前4時半に東京を出発し、初めて見学した。昨年、公益財団法人「偕行社」(かいこうしゃ)の総会で講演した縁で、スタンド席の招待券をいただいた。本当にうれしく、誇らしかった。偕行社は、大日本帝国陸軍時代からの伝統を受け継ぐ、旧陸軍と陸上自衛隊、航空自衛隊の元幹部らの親睦団体である。

午前10時から始まった総火演の前段演習は、「陸上自衛隊の主要装備品の紹介」ということで、小銃や対人狙撃銃、迫撃砲、誘導弾、戦車、ヘリ火力など、さまざまな火力の実弾射撃訓練が見られた。

弾速が異なる複数の火力を用いて、爆発炎で空中に富士山の形を見事に描いてみせたり、最新鋭の10式戦車が後ろ向きにスラロームしながら、4台同時に標的に着弾させる高度な技術と能力には驚いた。

後段演習の「島嶼(とうしょ)部に対する攻撃への対応」では、航空自衛隊のF2戦闘機も敵部隊を爆撃する想定で参加した。各部隊が見事に連携しながら繰り広げられる実戦的な演習は、参加した自衛官の使命感と士気の高さ、日ごろの訓練の厳しさを示していた。

米国では、軍人や警官、消防士、救急隊員、沿岸警備隊員など、いざというとき現場に駆けつけ、命がけで国民の生命を守る職業の方を「ファースト・レスポンダー」(最初の対応者)と呼び、最大の敬意と感謝を表す。日本では、この意識が足りない印象がある。

総火演で使われた弾薬の総量は約36トンで、約2億9000万円相当だという。すべての戦力を否定する自称「平和主義者」や左派メディアは、このような経費を無駄と思うだろう。

しかし、自衛隊の戦力のPRは国民に安心感を与えるだけでなく、敵に対する最大の抑止力になる。経費を惜しむ人には、「日本が攻撃されることをお望みですか?」と聞きたい。

北朝鮮の弾道ミサイル「火星12」が日本上空を通過して、北海道・襟裳岬の東の太平洋上に落下した。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は当初、グアム近海にミサイル4発を撃つと発表したが、ドナルド・トランプ米大統領が「世界が見たこともない炎と激怒で対抗する」というと、ビビって北海道方面に変更した。

数年前、「やられたらやり返す。倍返しだ!」というドラマのセリフが流行した。少し下品だが、平和を守るのに、これほど効果的なセリフはない。

■ケント・ギルバート 米カリフォルニア州弁護士、タレント。1952年、米アイダホ州生まれ。71年に初来日。著書に『儒教に支配された中国人・韓国人の悲劇』(講談社+α新書)、『トランプ大統領が嗤う日本人の傾向と対策』(産経新聞出版)、『日本覚醒』(宝島社)など。

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今年の富士総合火力演習には約2万4000人が入場した=8月27日