【ワシントン清水憲司】米メディアは1日、トランプ米政権が米韓自由貿易協定(FTA)からの離脱を検討していると報じた。米国が求める再交渉開始に、韓国が応じないことへの不満が背景にあるとみられる。

トランプ大統領は北米自由貿易協定(NAFTA)でも離脱の可能性を示すことで、交渉を有利に進める戦略をとっており、韓国に早期の交渉入りを迫る狙いもありそうだ。

米通商専門紙ワールド・トレード・オンラインが関係者の話として伝えた。それによると、トランプ政権は米韓FTAからの離脱を「真剣に検討」しており、既に離脱に必要な通告書も準備。早ければ来週前半にも離脱手続きを始めるという。

一方、米議会や産業界の反対が見込まれるほか、離脱検討の主要な目的は「韓国を交渉のテーブルにつかせること」との見方も報じた。

トランプ政権による交渉戦術の側面もありそうだが、実際に離脱を決めれば、両国の経済関係だけでなく、対北朝鮮での連携にも悪影響が及ぶ恐れがある。

米韓FTAをめぐっては、6月の米韓首脳会談でトランプ氏が貿易赤字の拡大への不満から再交渉への強い意欲を表明。両政府は8月下旬、特別合同委員会をソウルで開いたが、韓国は「貿易赤字拡大は米韓FTAが原因ではない」などと反論し、再交渉に応じない姿勢を鮮明にしていた。

https://mainichi.jp/articles/20170902/k00/00e/020/293000c