英国の経済誌「エコノミスト」は最近、「米国人たちは、ペットを育てるために、北朝鮮の国内総生産(GDP)の2倍をつぎ込む」と書いた。韓国のわずか50分の1にすぎない貧しい北朝鮮の経済を、このように皮肉った。

しかし、この小さな国の指導者である金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、トランプ大統領と真っ向から対立している。これも、北朝鮮が米国の本土まで届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)と核兵器を保有しなかったら、決して浮かんでこなかった構図だろう。

北朝鮮が2度にわたってICBMを発射した今年7月以降、北朝鮮を見つめるワシントンの視線は確実に変化した。認める部分は認め、現実的に対処しようといった雰囲気だ。

こうしたことが影響してか、最近ワシントンの専門家たちと会うと、「北核問題の解決」や「非核化」といった内容よりは、「抑止」や「封鎖」といった方向により多くの関心を抱いていることが分かる。

ワシントンには、韓半島(朝鮮半島)政策に影響を与える二つのグループが存在する。一つは政策決定グループだ。ホワイトハウスや国務省、議会などの官僚や政治家で、政策を決めて法を制定する。そして、もう一つは世論を形成するグループだ。

シンクタンクや専門家、学者、韓半島問題を扱った前・現職の官僚、そしてマスコミだ。政策決定者と専門家は、政策に対するアイデアや観点について討論を交わす近い間柄だ。政策担当者たちが米国外交の顔だとすれば、専門家たちはその複雑な内幕を担当している。

最近、専門家たちの話を聞いてみると、ワシントンで北核問題は「ティッピングポイント(劇的な変化の瞬間)」を迎えていることが分かる。すでに、ワシントンでは、北朝鮮が核を諦めると期待する人にはめったに出会えない。

クリントン元大統領からブッシュ元大統領、オバマ前大統領、そしてトランプ政権に至るまで、「何をテーブルの上に乗せれば北朝鮮が核を諦めるだろうか」と悩み、北朝鮮を相手しながら得た集団的結論を共有しているかのように見える。

ロバート・ガルーチ元米国務省北朝鮮核問題担当大使は「北朝鮮は、核兵器をしばらく貸すことはあるかもしれないが、何かと交換するといった考え自体を抱いた試しがない」と言及した。

金正恩委員長が交渉の場に姿を現す可能性については、時間がかかるといった見方が大勢を占めている。すでに米国本土を攻撃する能力を証明した核ミサイルに対し、金委員長がより自信を持つようになるまでは現れないだろう、というわけだ。

時期は、今年の末、または来年初めになる可能性がある。太永浩(テ・ヨンホ)前駐英北朝鮮大使館公使は今年1月に行ったあるインタビューで、その時点までにICBMの開発と核兵器の小型化を完成するのが金委員長の目標だと話した。

「韓国の核武装」という主張に対する反応も、異常なくらいに敏感さが感じられない。賢明な選択ではないが、韓国と日本がこれ以上、米国の安保公約だけを信じて耐え忍ぶのは困難だということを理解しているという。

いつの日か、韓国の核武装を阻むことは難しくなる日が来ると考えている、というわけだ。日本も結局はその道に加わると見るのが論理的だという。しかし、こうした理由から中国が北核問題の解決に乗り出す可能性に対する期待は大きい。

中国が、自分たちにとって決して都合のいいことではない北東アジアでの核拡散を、このまま指をくわえて見ているわけがない、というのだ。

ワシントンの多くの専門家たちの北朝鮮問題に対する関心を掘り下げてみると、結局は中国の名前が浮上する。米国の最大の関心事は、中国との競争だ。

ヘンリー・キッシンジャー元国務長官やスティーブン・バノン元ホワイトハウス首席戦略補佐官が在韓米軍撤収というカードを米中間の取引に使うよう提案したのも、結局米国の目には中国だけしか見えていないということを物語っている。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/09/01/2017090101665.html

>>2以降に続く)