【北京・川原田健雄】10月に開幕する第19回中国共産党大会で、習近平党総書記(国家主席)に続く次世代の指導者候補として、陳敏爾・重慶市党委員会書記(56)と胡春華・広東省党委書記(54)が最高指導部の政治局常務委員(7人)に昇格する見通しが強まっている。

ただ、習氏が求心力を維持するため後継者を当面、確定させないとの見方もあり「ポスト習」の行方はなお混沌(こんとん)としている。

陳氏は習氏が浙江省トップの党委書記だった当時の側近。2015年に貴州省トップになり貧困対策に取り組んだ。7月に胡氏とともに次世代リーダー候補とされた前重慶市トップの孫政才氏が失脚したのを受け、後任に抜てきされた。

陳氏は現在、党中央委員(約200人)だが、習氏の強い後押しを受けているとされ、常務委員に入れば政治局員(25人)を飛び越えて2階級特進となる。

胡氏は内モンゴル自治区トップなどを経て、12年の前回党大会で政治局員に就任。「ポスト習の有力候補」と目されてきたが、出身母体は胡錦濤・前国家主席や李克強首相を輩出した共産主義青年団(共青団)で、習氏とは距離があるとみられていた。

習氏に近い人物の要職起用が続く中、胡春華氏は8月30日付の党機関紙人民日報への寄稿で「習総書記の新理念、新思想、新戦略を貫徹する」と習氏支持を鮮明にした。

陳氏と胡氏は、毛沢東から数えて第5世代の習氏に続く第6世代のリーダー候補と言われる。前例に従えば習氏が2期目に入る今回の党大会で、次の最高指導者候補が常務委員に選出される。

ただ、党の「核心」と位置付けられた習氏は、長期的な求心力の維持を最優先しているとされ、党大会では後継者を曖昧にするとの見方が強まっている。

今回は「党大会時に68歳に達していれば引退」という慣例の見直しも議論される見通し。見直されれば、習氏は69歳で迎える22年党大会でも引退せずに済む。国家主席の任期を2期10年と定める憲法や、党総書記任期を連続2期までとする規定などを見直せば3期目も可能となる。

習氏が権力基盤を固める中、かつて毛沢東が就き、今は廃止された「党主席」の復活もうわさされる。

党や政府、軍に大きな権限を持つこのポストに将来、習氏が就けば、5年後に陳氏や胡春華氏に党総書記や国家主席を引き継いでも、最高指導者は習氏のままだ。「ポスト習は習氏本人」との臆測は依然、党内外でささやかれている。

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>>2以降に続く)