【アモイ(中国福建省)河津啓介】10月の中国共産党大会に向け、習近平国家主席の実績をたたえる書籍が中国で相次いで出版されている。農村で過ごした習氏の青年時代を紹介して民衆に近い指導者をアピールする書籍や習氏が掲げる統治理念の解説本など、いずれも習氏の権威を高める狙いがあるとみられる。

8月18日、中国共産党機関紙・人民日報の1面に「習近平・知識青年としての七年」の出版が報じられた。習氏は文化大革命中の1969年、15歳で北京から若者を農村で再教育する「下放」によって陝西省の農村に移り住み、7年間を過ごした。この本は当時の習氏を知る村民、一緒に下放された学友ら29人を取材して習氏の生活ぶりや成長過程をまとめたものだ。

出版後、党幹部を養成する中央党校の機関紙・学習時報は繰り返し1面トップで全国各地で開催された同書の学習会の様子などを報じて「重要な教育材料」とたたえ、「1週間で100万部を発行」と伝えた。

また、6月には習氏の演説集が出版され、2カ月で110万部を発行。同月には中央党校による習氏の新たな統治理念「治国理政」の解説本も出版された。今回の党大会では習氏の統治理念が党員の最高規範である党規約に盛り込まれることが有力視されており、一連の出版ラッシュは習氏の権力集中を理論面でも支えるためと言える。

https://news.goo.ne.jp/article/mainichi/world/mainichi-20170903k0000m030018000c.html