第二次世界対戦が終わってから、平和主義は一貫して日本人の神聖な信条であり、米国の後押しで戦争放棄の条項が戦後憲法に記された。

しかし、国民の平和主義を尊重する姿勢や、自衛隊と言われる日本軍に対するスタンスが変わり始めており、これを安倍晋三首相が促している。米『ニューヨークタイムズ』ウェブサイトが伝えた。

最近行われた実弾演習で、日本兵がジープから飛び降り、対戦車ミサイルを下して地面に伏せた。数分後、目標へ照準を合わせて発砲すると、約800m先にある仮想の標的に当たった。

富士山麓で今回行われた日本軍の実弾演習を見物した2万6000人超は野外観覧席で、地上に広げられた迷彩柄の敷物の上で食事をしながら称賛の拍手をし、「すごい!わぁ!」とたびたび歓声を上げた。

軍隊に対する日本国民の興味が増す

日本国民は長期にわたり、安倍晋三首相が検討する課題に対してギャップのあるスタンスを保ってきた。世論調査によると、半数から半分以上の人々が、安倍晋三首相の平和条項の憲法改正に向けた努力に賛成していない。ただ、軍隊に対する国民の興味は一貫して増えている。

富士山演習を観覧するチケットは不足し、今年のチケット申請と取得の比率は6対1だった。日本の内閣府が行った調査によると、自衛隊に対して興味を持つ人の数は2015年調査対象者の71%に上り、1980年代末の55%を上回った。また、自衛隊員とデートする機会を提供するマッチングサイトも流行し始めた。

もちろん、こうした動きは、人々が国防政策の強化を望んでいることを表しているわけではない。自衛隊の最も重要な職能は災害時の救助活動だ。2011年3月に地震と津波が発生した際、自衛隊に対する支持は急拡大し、自衛隊は被災者の救援と被災後の再建において非常に大きな役割を果たした。

ただ、富士山実弾演習などの活動に参加する時、一部の日本国民は、日本軍に実弾演習や災害救助以外の任務を求めることができるかどうかを考え始めている。

横浜の建築設計事務所長、60歳の石原正明さんは、「米国や韓国が他国と戦争を始めれば、日本は参加せざるを得ず、日本は参戦を迫られるだろう」との見解を示す。彼は妻、9歳の子ども、友人1人と8月27日の演習を観覧した。

演習観覧の雰囲気は縁日のようで、人々は様々な味のかき氷を食べ、記念品販売所でTシャツや模型戦車、軍事をテーマとしたビスケットを買っていたが、石原正明さんの妻である49歳の貴子さんは、演習について「本当の戦争みたい」と話した。

「演習を見て怖くなった」と石原貴子さんは言う。「平和は本当に続くのかしら?」。

日本の平和主義は矛盾に満ちている

地域の脅威が日増しに厳しくなるにつれ、安倍晋三首相は憲法改正を何度も求め、日本の自己軍事能力の拡大を目指している。日米同盟が日本の防衛につながっているが、安倍晋三とその支持者は、日本が自国の力でもっと多くの事をする必要があると考えている。

2年前に安倍晋三首相の主導で、日本は自衛隊の海外作戦任務への参加を可能とする安全保障関連法案を承認した。日本政府は6年続けて国防支出を増やす予算案を出しており、防衛省は最近、米国から「陸上型イージス」という弾道ミサイル防衛システムを購入するための資金を要求。

このシステムは地球の大気圏より上を飛行するミサイルを迎撃することができる。

日本国民の脅威に対する懸念が日に日に拡大しているが、核戦争の怖さを経験した唯一の国として、日本国民が戦争放棄の憲法を堅持するスタンスはずっと揺らがなかった。アナリストは、国家安全の名目のもとでどこまで行きたいのかという問題を国民が考えたことは無いと指摘している。

52歳の森忍さんと娘は、200km離れたところから自動車で富士山へ来て、年に1度の演劇のような軍事演習を観覧した。森忍さんは、演習の見るのは好きだが、この砲火が実際には永久に利用されないで欲しいと述べた。

「私は、平和の時代に長く生きてきた」と言い、「だから、次の世代にも平和を享受してほしい」している。アナリストは、日本の平和主義の概念がこれまですっと矛盾をはらんでいたと指摘する。

http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2017-09/03/content_50008477.htm

(続く)