尖閣国有化5年 日中関係の改善へ道筋を

日中関係が著しく悪化するきっかけとなった尖閣諸島の国有化から11日で丸5年。中国の習近平国家主席が推進する現代版シルクロード構想「一帯一路」に安倍晋三首相が支持を表明するなど関係改善の兆しも出ているが、南シナ海問題ではなお対立が続く。

今年は日中国交正常化45周年、来年は日中平和友好条約締結40周年。日中首脳は「善隣友好は両国民の利益」という大局観に立ち戻り、本格的な関係改善へ道筋を付けてほしい。

2012年9月、日本政府はタカ派の石原慎太郎東京都知事が主導した都による購入を阻止するため尖閣を国有化。中国政府は「実効支配の強化だ」と激しく反発し、両国関係は「国交正常化後で最悪」といわれる状態にまで冷え込んだ。

14年11月、両国政府は関係改善に向けた「戦略的互恵関係の発展」など4項目合意に達したが、その後、中国が南シナ海で大規模埋め立てを強行したことが問題化。安倍首相が対中批判を強め、再び関係が悪化した。

今年7月、安倍首相は習氏との会談で「一帯一路」に条件付きで協力する考えを伝達、習氏は「正しい方向に中日関係を進めたい」と述べ、両首脳は関係改善を進める方針で一致した。5年前、国交正常化40周年の北京式典は尖閣国有化のため中止されたが、今年は開催される。

日本政府は尖閣諸島の開発や人の立ち入りは認めておらず、現状は凍結されている。中国は国有化後、尖閣周辺で公船の動きを活発化させ、毎月、領海侵犯を行ってきた。遺憾だが、領有をアピールする形式的な行動だ。領有権争いにおける主権・保有の主張は、全ての係争国にとって「正義」であり、譲歩は難しい。日中両国は尖閣対立を「棚上げ」するべきだ。

日中両国は東シナ海を「平和・協力・友好の海」にすることで合意しており、偶発的な衝突を回避する海空連絡メカニズムの運用開始を目指す協議を続けている。両国は柔軟さを発揮し、関係改善の象徴として早期の合意を目指してほしい。

日本政府は来年の安倍首相訪中、習氏来日の実現を中国側に働き掛けている。ただ、相互不信は根深く、日本側には「中国は強引な海洋進出で覇権を目指すのか」、中国側には「日米は中国封じ込めを図っている」との疑念が根強い。

根本的な日中関係の改善には、中国は永久に平和主義を貫き、日本は中国の平和的な台頭を歓迎するという立場を明確にする必要があろう。

ソース:デーリー東北 9月7日
http://www.daily-tohoku.co.jp/jihyo/jihyo.html?%E5%B0%96%E9%96%A3%E5%9B%BD%E6%9C%89%E5%8C%96%EF%BC%95%E5%B9%B4/%E6%97%A5%E4%B8%AD
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