北朝鮮は先月29日、中距離弾道ミサイル「火星12」を発射し、北海道上空を通過させ、襟裳岬東方の太平洋上に落下させた。

3日には「6回目の核実験」を強行し、「ICBM(大陸間弾道ミサイル)搭載用の水爆実験に成功した」と発表した。水爆は原爆より小型化できるうえ、最大で原爆の約3000倍のエネルギーが出せるという。

6回目の核実験は、米軍による武力行使や斬首作戦の「レッドライン」を越える可能性も指摘されていたが、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は強行した。

不良中高生やチンピラ、ギャングなど、世の中には「ナメられるくらいなら死んだ方がマシ」という人たちが確かにいる。正恩氏も似たような思考回路なのか。

心理学の用語でいうと正恩氏は「承認欲求」が強いとみえる。特に、自分が他人よりも優位な立場として認められたい「上位承認」の欲求が強いようだ。

このような人物はナルシストの傾向が強かったり、他者に対して猜疑心や被害妄想を抱えているケースが多いとされる。他人が信用できないから、自分はそれを支配する存在として君臨したいわけだ。

日本から見れば、わが米国のドナルド・トランプ大統領も、正恩氏と大差ないと思うだろう。米国人は私も含めて自分の個性と主張を前面に打ち出すよう、幼いころから教育される。

授業中に積極的に前に出て自説を説得的に述べられないと、成績優秀者にはなれない。基本的に「遠慮」「謙遜」「譲歩」などに美徳を感じない。

米国人も「ナメられる」ことが大嫌いなのだ。だから、「チキン」(臆病者)といわれるとキレてしまう映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の主人公、マーティに共感する。

推測だが、「ナメられたくない」という気持ちは、厳しい生存競争を生き抜くのに必要な本能的な感情ではないのか。逆に「ナメられても構わない」との気持ちは人生を達観した聖人のようだが、生存への欲求が薄い感じだ。

弾道ミサイルが上空を通過し、初めてJアラートが鳴り、加えて核実験が行われても、あくまで「話し合え」「刺激するな」と主張する進歩のない日本国内の反応を見ていて、そんなことを考えた。

先の「承認欲求」の中には、自分が他人から蔑(さげす)まれたいと考える「下位承認」もあるそうだ。被虐的な性癖のある人物や、社会的・道義的な責任を背負いたくないと考える人物、そして他人に依存したい、保護されたいと思っている人物が抱きがちであるとされる。

戦後の自虐史観のなれの果てが「下位承認」だったのだ。妙に納得した。

■ケント・ギルバート 米カリフォルニア州弁護士、タレント。1952年、米アイダホ州生まれ。71年に初来日。著書に『儒教に支配された中国人・韓国人の悲劇』(講談社+α新書)、『トランプ大統領が嗤う日本人の傾向と対策』(産経新聞出版)、『日本覚醒』(宝島社)など。

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核の兵器化事業を指導する金正恩氏。日本人は恫喝に打ち勝てるか(朝鮮中央通信=朝鮮通信)