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2017/09/16(土) 20:27:38.42ID:CAP_USER原油は現状維持
安保理が採択した9回目の北朝鮮制裁案は?
鈴置:効果は期待できません。肝心の原油の全面禁輸が盛り込まれなかったからです。新たな制裁案では現状水準で凍結するに過ぎません。金正恩(キム・ジョンウン)委員長に対する資産凍結・渡航禁止も外されました。
一体、何が新しいのですか?
鈴置:北朝鮮の繊維製品の輸出禁止と、国連加盟国における北朝鮮労働者への就労許可の禁止です。ただ後者に関しては、中国やロシアで現在働く労働者の送還は見送られました。
米・日は原油の完全禁輸と、北朝鮮の外貨獲得手段の封鎖など強力な制裁を目指しましたが、中ロの反対で完全に骨抜きになりました。
水爆を持ったことに留意せよ
北朝鮮は喜んでいるでしょうね。
鈴置:「しめた!」と躍り上がったことでしょう。今後は「水爆とICBM(大陸間弾道弾)を持った北朝鮮」を世界に認めさせるために全力をあげると思います。
北朝鮮の路線は明確です。9月7日に朝鮮中央通信が配信した記事「朝鮮アジア太平洋平和委員会 敵対勢力の新たな制裁圧迫を非難」が北の意図をよく示しています。
この記事はまず、米国に対して北朝鮮を核保有国として認め、制裁や軍事的威嚇を止めるよう要求しました。以下がその部分の全訳です。
なお、記事の一部は聯合ニュースの「北朝鮮が韓米日を威嚇 『制裁に執着すれば断固たる対応に直面』」(9月8日、日本語版)で、日本語で読めます。
・米国は朝鮮の水爆保有により変化した地位と重みを慎重に考慮し、もう打つ手もないというのに空元気を出して、めったやたら暴れまわるのは止めねばならない。
・朝鮮の水爆実験の成功に込められた極めて大きな意味と、厳しい警告をいまだにきっちりと判別できず、昔ながらのやり方にとらわれ制裁と圧迫に執着するなら、米国としてとても甘受できない、類例のない断固たる対応に直面するであろう。
・いつも、後悔は先に立たないものだ。
・米国がほざく「北を全滅」などの暴言と、悪だくみの妄動が国益を利するか、そうではないか、深思熟考せねばならない。
悪漢国家を全滅
「上から目線」ですね。
鈴置:核を持ったからではありません。北のメディアはいつもこうなのです。「オレはお前より上の存在だ」と叫んでいるのです。韓国政府が日本政府に対し、説教調の声明を出すのと同じことです。
韓国外交部が年中言って来る「歴史を直視せよ」ですね。
鈴置:その通りです。話を北朝鮮に戻します。よほど国連制裁の強化が怖かったと見えます。世界では「どうせ中国やロシアが制裁強化には応じないだろう」と見る向きが多く、実際そうなったのですが。
同時に「北の全滅」を極度に恐れているのも分かります。制裁の実効が上がらない場合、しびれを切らした米国が北の核・ミサイル施設を先制攻撃してくると恐れているのでしょう。
「全滅」と言っていますね。
鈴置:9月3日、マティス(James Mattis)国防長官が「米国やその同盟国を攻撃すると脅すなら、大量の軍事的対応で悪漢国家を全滅(total annihilation)させることもある」と語りました。これに反応したのでしょう。
マティス長官の言い回しは、米政治誌POLITICOの「Mattis warns of 'massive military response' if North Korea threatens attack」(9月3日)で読めます。
平壌も核攻撃の対象
核・ミサイル施設への攻撃だけで、北朝鮮は「全滅」するのですか?
鈴置:専門家はしばしば「ピンポイント攻撃」とか「外科手術的な攻撃」という言葉を使います。民間人の被害を極力抑えるため、軍事施設だけを攻撃する、との含意があります。
ただそうは言っても今、北朝鮮を攻撃するとなると全面戦争に近いものになりそうです。地上戦までやるつもりは米国にはありませんが。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226331/091100124/
(>>2以降に続く)