日本を訪れる中国人観光客の間で、着物体験やアイドルのコンサートを楽しむといった体験型の旅行が広がっている。従来は「爆買い」のような買い物主体の「モノ消費」を楽しむ中高年が多かったが、「コト消費」に重点を置く若者が増えてきているためだ。

来月には中国の国慶節(建国記念日)に伴う大型連休を迎えるが、若い中国人観光客を中心とした変化も注目されそうだ。

「買い物はどの国でもできる。せっかく日本に来たのだから、美しい着物を着てみたい」

東京都台東区の浅草寺で、中国人観光客の女性(20)が着物姿で笑顔を見せた。付近では着物を着て写真撮影を楽しむ外国人観光客が多いが、着物レンタル店を経営する奥原久美子さんは「最も多いのは中国人の観光客だ」と話す。

日本を訪れた中国人観光客に話を聞くと、着物といった伝統的なものや、アイドルのコンサートといった現代的なものまで、幅広い日本文化の体験が人気だという。特にこのような旅行を楽しんでいるのは、自由にスケジュールを決める個人旅行を好む若者だ。

日本へ何度も旅行で訪れている北京在住の范冕さん(30)は「若者は買い物よりも精神的な満足感を求めている」と分析。日本文化を重視する旅行は、爆買いに代わるブームになっていると強調する。

旅行ニーズの変化は統計数字にも表れる。観光庁の資料によると、平成28年の訪日中国人1人当たりの旅行支出は約23万2千円と、前年比で18.4%減少。全国籍・地域の中で最大の減少幅で、爆買いの鈍化が影響しているとみられる。

ただ、自らのニーズと合致すれば財布のひもを緩めているようだ。英ロンドン留学中の上海出身の女性(23)は、8月中旬に7回目となる日本旅行を楽しんだが、目的は男性アイドルグループのコンサート。

チケットを転売する日本人から約25万円を払って何枚も購入したというが、「ルール違反とは分かっているが、自分と同様に高値で買った人は少なくないと思う」と指摘した。

http://www.sankei.com/world/news/170914/wor1709140053-n1.html
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浅草寺周辺で、着物姿で土産物を見る中国人の女性観光客=東京都台東区(三塚聖平撮影)