朝高生の思い届かず―東京無償化裁判地裁判決
2017-09-14 10:00:00 日刊イオ 月刊イオがおくる日刊編集後記

2014年2月、62人の東京朝鮮中高級学校生が無償化法の適用を求め、一人あたり10万円の国家賠償を求めた東京無償化裁判の判決が9月13日、東京地裁で言い渡され、原告の請求が棄却された。

約1500人が傍聴券を求めて並んだ同地裁の大法廷では、田中一彦裁判長が「原告らの請求をいずれも棄却する」「訴訟費用は原告らの負担とする」と2つの判決文を読み上げるのみ、傍聴席の生徒たちに目を向けることもなく、くるりと背を向けて法廷から立ち去った。

原告側弁護団は、「就学支援金の受給資格は生徒にある」として、被告・国が朝鮮高校を外すために規定ハを削除したことは政治的外交的理由で「違法だ」と主張。しかし、同地裁は、規定ハの削除も、不指定処分も「文科大臣の裁量の範囲からの逸脱、乱用があるものとは認められない」として、被告国の主張を全面的に認め、不指定処分を「適法」とした。

(中略)

鮮学校で学んだ10万人を超える卒業生たちは、日本や世界の多様な分野において活躍し、立派に社会貢献していると私たちは自負しております。

私たちは、このたびの不当判決にひるむことなく、今後とも民族教育の普遍的価値を実証し、民族教育を受ける権利は法的保護に値する正当な権利であるということを訴えていきたいとい考えています。

朝鮮学校に通う生徒たちは、日本で生まれ、これからも日本に永住していく子どもたちであり、何よりも朝鮮と日本の友好の懸け橋となる、私たちのかけがえのない大切な未来です。

私たちは、すべての子どもたちが平等な学習権を享受し心おきなく学び成長する社会を実現するため、また多文化を相互理解し共存共栄する社会建設に寄与すべく、今後とも民族教育活動に全力を注いでまいります。

私たちはこれからも、本学園の生徒、保護者と在日同胞の皆さまはもとより、弁護団の諸先生方、「東京朝鮮高校生の裁判を支援する会」や「朝鮮学園を支援する全国ネットワーク」の皆さまをはじめとする多くの日本人の方々、韓国の支援者の方々とともに、手を取り心をひとつにし、良心と正義が実現されるその日まで闘い抜く所存であります。

我々の裁判運動を支え、惜しみない御協力をくださった全ての人々に、心からの感謝の意を表するとともに、これからもかわらぬご協力をよろしくお願い申し上げます。

日本政府は、今からでもすすんで自らを省み、朝鮮高校生に「無償化」を即時適用し、過去7年間停止していた「就学支援金」を遡り支給するよう強く求めるとともに、国家や行政による「民族差別」をやめさせ、朝鮮学校児童生徒たちの学ぶ権利を保障する改善措置等をとるよう強く求めます。

(学校法人東京朝鮮学園、東京朝鮮中高級学校、東京朝鮮学校オモニ会連絡会)

http://blog.goo.ne.jp/gekkan-io/e/b7b37d34db7d2f661f70d4c0d11be2e3