とある会合で、保守系の国防族議員が「社会保障と安全保障は国家基盤の両輪」と挨拶していたので、次の如き苦言を呈した。

「誤認識です。社会保障と安全保障は国家基盤の両輪ではありません。安全=国防が保障されて初めて、社会福祉が機能する。安全保障の基盤の上に社会保障はのっているのです」

病気に苦しむ自国民の命を奪う日本の安全保障体制

冒頭の国会議員の挨拶を思い出したのは、9月27日付産経新聞の投書欄《談話室》に掲載された長野県在住の農業をいとなむ男性(80歳)の《国民守る『答え』を示して》と題した投稿を読んだ瞬間であった。男性の叫びは悲痛で、まずは全文を紹介したい。

《私は週に3回、透析治療を受けながら命を永らえている者です。 

もしも、日本の上空で北朝鮮の『電磁パルス弾』が破裂する事態が起きたら、私の命はあと何日持つのかと心配になります。

電気が止まり、通信網が寸断され、交通機関もまひすれば、私が治療を受けている病院も機能しなくなってしまいます。全国の30万を超す透析患者も死を待つばかりとなるでしょう。

国会では、ここまで差し迫っている北朝鮮の脅威に正面から向き合うことなく、森友だ加計だと押し問答に時間を浪費してきました。来月10日にも公示される衆議院選挙は、誰が本気で国民の生命と財産を守ってくれるかが問われる選挙となるべきです。

私たちのように死と現実に向き合っている国民の心情にしっかり耳を傾け、候補者たちは国民を確実に守っていく『答え』をはっきりと示してほしいと願っています。》

投書には、憲法の素人米国人があちらこちらの歴史文書を引っ張り出し、9日間で草案を書き上げ、日本に押しつけた怪しげな「日本国?ケンポー」が、日本国民の精神的&物理的武装解除に果たしてきた恐るべき洗脳力への怒りを感じた。

最も素直?に洗脳されたのはサヨクと、サヨクを支援するメディア。朝日新聞や毎日新聞や東京新聞の社説を、冒頭の長野県在住の投稿者が読めば、どれほど力を落とすことか。

3紙は、今次の衆議院解散を加計学園や森友学園をめぐる疑惑隠しの思惑がある−とする。加計・森友問題は臨時国会で取り上げる予定だったが、《冒頭解散に踏み切れば首相としては当面、野党の追及を逃れることができる=朝日》、《よほど疑惑を隠しておきたいからだろう。首相がそれでこの問題は忘れ去られると考えているのなら国民はなめられたものだ=毎日》といった具合。

さて、電磁パルス(EPM)攻撃は小欄で何度も取り上げてきたので詳述しないが、ザッとお復習いを。

《上空での核爆発により→巨大な雷のような電波が巨大な津波のように地上に襲来→電子機器をマヒさせ→軍事用を含む広範囲なインフラを機能不全にする》

自国の《安全と生存》を外国に委ねる「ケンポー」を旗印に掲げる《戦後平和主義》なる思想、否、独善的感情は病気に苦しむ自国民の命すら奪おうとしているのだ。

専守防衛とは「本土決戦=1億総玉砕」と同義

戦後平和主義がまき散らした毒の中には《専守防衛》もある。専守防衛は、大東亜戦争(1941〜45年)末期に叫ばれたものの、大日本帝國も回避した「本土決戦=一億総玉砕」に他ならない。

英国勤務だった2001年秋、アフガニスタンで米中枢同時テロに端を発した対テロ戦争が勃発し、戦況を把握すべく英国の国防省や情報機関に日参した。その際、日本の参戦可能性を逆質問され、専守防衛の説明が何と難しかったことか。自衛隊との接触経験のない欧州軍所属の米軍人も、一様に怪訝な顔をした。

ジョン・ウッドワード退役英海軍大将にインタビューした際も、専守防衛を理解してもらうのに、英国人助手の力を借りても1時間かかった。ウッドワード提督は、南大西洋上の英領フォークランド島がアルゼンチン軍に占領された紛争時、奪回作戦の総司令官だった。提督は明らかにあきれながら口を開いた。

「なんと危険な戦略なのか。英国の場合、外部の脅威にさらされたら、先制攻撃も含め軍事行動を起こさねばならない。迎撃は本土よりできる限り遠方で実施するのが、英戦略の根幹を構成している」

http://www.sankei.com/premium/news/171002/prm1710020004-n1.html

(続く)