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また中国では、発注を受けて足りなくなれば、すぐに下請け企業へ不足分を要求する。その際、下請けが不衛生かどうかなんて問わない。混ぜてしまえばわからないからだ。また日本から検査にくれば、とりあえず工場内をきれいにして迎える、つまり3次加工業者だけを見てもわからないということである。

これはマクドナルドだけではなく、1次加工から3次加工まで、自ら全行程を生産する企業でないかぎり、常にこうしたリスクにさらされているということである。

日本のは検査するのになぜ

では、加工品ではない農産物はどうか。農産物の汚染といえば、農薬を連想するように、農薬=猛毒のイメージがある。だから無農薬の食材は安全と思われているが、人為的に大量の農薬を飲めば別として、微量なら人間の代謝によって体外に排出される。

ところが、地中にある重金属はどんどん体内に蓄積して排出されない。いったん発症したら回復の見込みがないのだ。重金属のような蓄積毒と、農薬のような一過性の毒とでは、怖さは一ケタ以上も違うのである。

重金属に次いで怖いのがBHCやDDT、つまり有機塩素系化合物である。これも重金属と同じ蓄積毒で、ある日突然、肝障害などを発症する。中国では、日本の基準値と比較して水銀は244倍、鉛3524倍、ヒ素1495倍といった恐ろしいほどの重金属が土壌から検出される。有機塩素はBHCで日本の59倍という数値だ。

この土地に農作物を植えれば、当然、根から吸収されて農作物に濃縮され、これを鶏などに食わせたらさらに濃縮される。生体濃縮である。こんな野菜や鶏肉が加工食品に混ぜられたら、私たちにはまったく見分けがつかない。

農水省や厚労省は「適切に検査しております」というが、実際は農薬の検査をしても重金属は検査しない。「日本の土壌汚染地域で獲れた場合は検査しますが、外国産の場合は検査なしで売られます」(検疫官)というのが実態なのだ。

農薬は食品中0.01ppm以上残留していたら販売禁止になるが、重金属に関しては、カドミウム以外は取り締まる法律がないからである。

中国は遺伝子組み換えに積極的

EUにはRASFFという、安全でない輸入食品があればEU全土に警報を発するシステムがある。中国産米製品に未承認のGM米が混ざっていることがわかったのもRASFFからだった。

初めて分かったのが2006年で、日本が重い腰を上げたのは翌年だった。

RASFFでGM米が混入しているとわかったのは米粉やビーフンで、これらの原材料は、ほぼ100%中国産米である。

問題はこのGM米が混入した米で加工した食品である。米を加工した食品には、おかき、あられ、から揚げ粉、餃子の皮などいろいろあるが、では、これらにGM米が使われているかどうか検査するかというと、まず検査しない。加工食品に使われた中国産GM米は、ノーチェックで入っていると思ったほうがいいだろう。

前出の高橋五郎教授はこんなことを言っている。

「中国は、食品から遺伝子組み換えを排除しているように見えますが、実は遺伝子組み換えをやめる気はなく、拡大していくつもりです。どう拡大していくかというと、工業製品に使うのです。工業製品というのは、せんべいのような加工食品です。拡大せざるをえないのは、遺伝子組み換えなしに中国の食料生産が成り立たないからです」

牛肉戦争になってしまう

さらにこの国が自ら危険な食品であることに目をつぶって、輸入しやすいようにしていることもある。一例をあげればアメリカ産牛肉だ。

最新の機器を使って検査すれば、アメリカ産牛肉から国産牛の600倍もの女性ホルモンが検出される事は明らかなのに、いまだに一昔前の計測法で検査している。この方法だとピコグラム(1兆分の1)単位のホルモンは検出できない。

あえてこの方法をとっているのは、アメリカと事を構えたくないから。アメリカ産牛肉には日本が禁止しているホルモンも使われていて、そんなものが検出されたら、輸入禁止にせざるを得ない。そうなると、アメリカが対EUにしたように、牛肉戦争になるだろう。国民を犠牲にしても、そんなトラブルだけは避けたいのである。

それ以外にも、アメリカへのお追従は恥ずかしくなるほどだ。たとえばポストハーベスト農薬の残留値だ。アメリカの乳製品を輸入するために、猛毒のアフラトキシン濃度を国際基準により20倍も甘く、EUより400倍も甘くした。

(続く)