しかし、南北関係でグテレス事務総長が果たすことができる役割には、明らかな限界がある。大統領府は同日の会談後、「対話を仲裁する事務総長の努力を韓国政府は積極的に支持すると言った」と発表した。しかし、「仲裁」という表現からは、まるで口の中に砂でも入ったかのような違和感を覚えずにはいられなかった。そもそも「仲裁」とは、紛争を続ける二つの勢力の間を取り持つ際に使用する言葉であって、国際社会に真っ向から対立し、一方的に挑発を続ける北朝鮮を相手に使える単語ではない。グテレス事務総長には、仲裁ではなく、対北制裁がしっかりと履行されるように管理すること以外には、これといってできることがない。

 文大統領が韓半島の危機的状況に対する国連と事務総長の役割、多国間の外交の重要性を強調したことは、ややもすると米国に北朝鮮の核問題から手を引くよう訴えているようにも聞こえかねない。トランプ大統領は、今回の国連基調演説で北朝鮮のひどい政策を列挙する一方で、1977年に拉致された日本人少女については取り上げたものの、哨戒艦「天安」の撃沈事件や延坪島砲撃事件など韓国に対する挑発については一切言及しなかった。韓国が韓半島の平和の詩を朗読している間に、現実は韓国を消去しようとするかもしれない。