「日本人にはよく会うが、韓国人には会えない」

3年前、アフリカ・ザンビア出身の女性記者に会った。米ニューヨークで十数カ国の記者たちが集まった場だった。彼女は韓国の経済成長についてよく知っていると言った。話していると、韓国人記者に言いたいことがあるという。

「夫が中古車輸入業をしているが、トヨタやホンダなど日本車が中心だ。韓国車もいいと聞いたが、韓国人に会えないので輸入できずにいる」。

その会話を思い出したのは、韓国の中古車輸出が半減したという話を先日の酒の席で聞いたからだ。順調だと思っていたが、「すべて昔話だ」と言われた。

2012年には年間37万台以上を販売し、輸出額は2兆ウォン(現在のレートで2000億円)に達していたが、昨年は23万台にとどまり、輸出額は半減した。日本は昨年、韓国の5倍に当たる118万台を輸出している。

中古車輸出業界の関係者によると、「韓国人に会うのは難しい」というザンビアに昨年輸出された中古車は乗用車14台とミニバン4台だけだった。「南アフリカ共和国を通じた迂回(うかい)輸出もあるが、それを入れても微々たるものだ」という。ザンビアの中古車市場も日本が席巻している。

アフリカで働くのはいろいろな面でつらく、不便だ。黄熱病などの風土病も心配だ。8年前にアンゴラに出張したところ、国内線旅客機の搭乗は先着順だった。2階建ての空港庁舎にレストランはなく、売店が1つあっただけだった。

午前10時ごろ搭乗しようと並んだが、10分ほどしてバラバラになった。「先着順だ。この便は満席になったので、次の便を待たなければならない」と言われた。次の便は午後3時30分だった。

アフリカはこのように「あきれてものが言えなくなる」ことがある所だ。だが、そうだとしても「アフリカで韓国人に会うのは難しい」と言わせてはならない。韓国は輸出で稼ぐ国だからだ。

スマートフォンの普及で世界は手のひらの上に収まっているかのように思える時もあるが、会って握手して食事を共にし、酒を飲みながら作る人脈は依然として重要だ。そうして作られたネットワークが、これまでにはなかった市場を作り出し、見えなかった輸出の道を切り開く。

若者の働き口がないなら、毎回増える対策の中に輸出市場開拓人材育成や海外就職に重点を置くべきだと思うが、政府は静観している。雇用政策を第1号政策に掲げながら、青年(15−29歳)失業が最悪の状況に陥っているのにもかかわらずだ。先月の青年失業率は9.4%を記録した。

8月基準では、18年前のアジア通貨危機(1999年)以来、最も高い。こうした状況は9月も続きそうだ。つまり韓国国内では雇用を創出できないということだ。

事態がここまで来れば、海外就職支援対策などを強化すべきだと思うのだが、逆にタブー視されている。「韓国が青年のせいでガラガラになるほど(中東で就職を)一度してみてください」と言った前大統領、「青年10万人奥地就職」と口にした元農林部(省に相当)長官の国会議員に対して「お前が行け」とバッシングが相次いでからのことだ。

さらに、公務員を増やすという政府の雇用政策が青年の足を引っ張っている。ソウル・鷺梁津の「公試村」(公務員試験の準備をする人々が集まる自習室兼宿泊施設)が今後2倍に増えるという声も聞かれる。政府も青年も海外就職を考えなければならない時期なのに、「公試族」(公務員試験の準備をする人々)ばかり増えている。

海外就職するということは、異国で見知らぬ人と交流して職に就いたり、店を開いて切り盛りしたりしながら頑張って生活するということだ。つらく苦しい生活だろう。それでも、6月に行われたある就職サイトの調査では、対象回答者の78.5%が「海外就職を希望する」と答えた。

ただし、ワシントン・ニューヨーク・ロンドン・東京で国際機関や金融街で働くことばかりを考えているとすれば、その希望は「絵に描いたもち」になる可能性が高い。アフリカ・南米・東南アジア・中東でも汗して働く覚悟をしなければならない。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/10/04/2017100400264.html

>>2以降に続く)