「中韓通貨スワップ協定」が10月10日に満期を迎えました。契約延長の交渉などは行われておらず、そのまま自然消滅となるようです。貿易黒字額世界第4位で格付けは日本より上の韓国が、世界主要国から通貨スワップ協定を断られまくっているのはなぜなのか? 刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』が解説します。

備えなければ憂いばかり…通貨危機時に融通できる主要通貨なし

「中韓通貨スワップ協定」はリーマンショック直後の2008年10月に締結されました。規模は最大3600億元(約6兆円)。契約延長がなされなかった背景には韓国によるTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備を巡る両国間の関係悪化も影響しているようです。

【通貨スワップ協定とは】通貨危機などで一方の国で外貨が不足した場合に、相手国があらかじめ定めたレートで通貨を交換し融通する協定。例えば「中韓通貨スワップ協定」があって韓国で通貨危機が発生した場合、中国は事前に定めたレートで韓国ウォンを人民元と交換して韓国の外貨不足を助ける(同様に中国で通貨危機が発生した場合には、韓国が中国にウォンを融通する)。

韓国にとって通貨危機時に人民元を融通されても大した助けになるとは思えませんが、安心材料くらいにはなります。

現時点で韓国は総額1220億ドル相当(約13.7兆円)の通貨スワップ協定を締結しています。通貨危機時に絶対必要となる「米ドル」が融通されるものはないのですが、今回の中韓スワップ消滅でその半分さえも失ってしまうことになります。

日本とも2005〜2015年には「日韓通貨スワップ協定」が締結されていました。

【日韓通貨スワップ協定】2005年に日本円と韓国ウォンを相互に融通しあう協定が成立。当初は最大30億ドル相当だったが2008年のリーマンショック直後に200億ドル相当に増額される。2010年に危機を脱したとして増額措置を終了し30億ドルに戻されたが…。

民主党時代にはなぜか(通貨危機時に絶対必要となる米ドルとの交換も含め)総額700億ドル相当まで大判振る舞いされていたのですが、自民党政権になって大幅に減額され2015年までに完全消滅しています。

日韓通貨スワップ協定締結時にもし韓国で通貨危機があれば、日本は紙屑同然の韓国ウォンを受け取って(700億ドル全額ではないものの)貴重な米ドルを韓国に渡さなければなりませんでした。日本が通貨危機となって韓国から米ドルを融通してもらうことは実際問題考えられず、事実上は日本から韓国への一方的な信用供与となっていました。

米国は基本的にどの国とも通貨スワップ協定を締結しませんが、例外的にリーマンショック時には最大300億ドルの米韓通貨スワップ協定を締結していました。これもとっくに消滅しています。

またユーロ圏は、域外では中国と450億ユーロ(6兆円)相当の通貨スワップ協定を結んでいるだけです。ユーロはドルに次ぐ国際基軸通貨ですが、通貨危機時に韓国にユーロが融通される協定はありません。

つまり韓国にいざという時に融通されるのは、さして役に立つとは思えない(米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円、人民元以外の)ローカル通貨だけとなります。

北朝鮮と通じる文在寅に世界が警戒 何かをきっかけに何かが起こるかも…

さて韓国は年間1000億ドル近い経常収支の黒字国で、黒字額はドイツ、中国、日本に続く世界4位であるはずです。また本年7月時点の外貨準備も3900億ドル近くあります。

にもかかわらず、韓国経済は常に通貨危機懸念や外貨不安が囁かれています。水面下では主要各国に新たな通貨スワップ締結を働きかけているようですが、すべて拒否されているようです。

これまでに韓国からの要請を拒否したとされる国は、米国、英国、ドイツ、フランス、オランダ、ロシア、カナダ、メキシコ、ブラジル……etc. 日本も「韓国が希望すれば応じる」という態度ですが、実際はお引き取り願っている状態です。

今月からFRBが保有資産縮小に踏み切っており、また年3回の利上げペースも維持するようで、何かをきっかけに世界のどこかでドル調達に不安が出てくる恐れもあります。

http://diamond.jp/articles/-/145268

>>2以降に続く)