「目くそ、鼻くそを笑う」とは言うが、これは「目くそ、鼻くそに怒る」だろう。韓国の保守系紙「朝鮮日報」が中秋の連休中に掲載した、中国から韓国に持ち込まれる「汚染食品」を告発する記事のことだ。韓国が大騒ぎした「殺虫剤入り鶏卵」のことなど、もうすっかり忘れたのだろうか。

「韓国の食堂は、保健所の検査が入ると聞くや、飲料水や食品に消毒薬のスプレーをかけるので、みんな合格」といった噂はともかく、韓国こそ安全性に疑義がある食品を輸出すべきではなかろう。

朝鮮日報(2017年10月6日)による「中国汚染食品」の告発は、日本語サイトにアップされた記事だけで4本、摘発事例のグラフが1つという構成だった。

4本の記事をまとめると、正規に輸入される中国産食品から、しばしば発がん性があるなどで禁止されている添加剤が検出されている。しかし、検査されるのは、ごく一部で、大半は検査をしないまま流通している。

正規輸入とは別に、運び屋により持ち込まれる食品が年間1万7000トンあるが、これはほとんどが検査なしだから、もっと危ない−という趣旨だ。全体として「中国憎し」があふれている感じがする。

韓国らしい面白い談話も載っている。

「韓国の輸入食品検査システム全体は先進的だが、問題はシステムがしっかり作動していないことだ」(韓国消費者連盟の副会長)には、もう吹き出してしまう。

犬肉について書いた記事もある。

「公式統計で犬肉の輸入は『0件』だが、街中では『中国産犬肉もかなりある』という話が絶えない」と、噂を前提にした記事だ。

大学の獣医学部で検査したところ、犬肉サンプル93件のうち42件(45・2%)から基準値を上回る抗生物質成分が検出されたという。

しかし、この記事には「韓国の食用犬飼育場は2862カ所、食用として流通している犬は年間78万〜100万匹と推定される」ともある。運び屋により持ち込まれる食品の中に犬肉があったとしても、このサンプルに含まれているのかどうか。

韓国のマスコミはこのところ、「ペットブームの影響で、犬肉が食べられなくなった」といった記事を載せているが、それでも「年間78万〜100万匹」というわけだ。

「中国産キムチに防腐剤、魚には発がん性消毒剤」という見出しの記事では、大学教授が「05年に発生した中国産『寄生虫卵キムチ』や『マラカイトグリーン(=毒性のある消毒剤)ウナギ』などの食品問題は今も解決されていないということだ。このほど『(韓国では)殺虫剤卵』問題が発生したが、それよりも衛生的に問題で有害な食品がある可能性もあるので、食品安全管理を強化しなければならない」と語っている。

失礼、「殺虫剤入り鶏卵」のことは忘れていなかったのだね。それにしても、「目くそ、鼻くそに怒る」であることには変わりない。

■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「悪韓論」(新潮新書)、「呆韓論」(産経新聞出版)、「ディス・イズ・コリア」(同)などがある。

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/171012/soc1710120009-n1.html
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/171012/soc1710120009-n2.html