米太平洋軍が隷下の在韓米軍や在日米軍、日本を根拠地にする第7艦隊などに、韓国軍に対する情報統制を「一層強化」する旨を厳命したもようだ。もともと、米太平洋軍は韓国政府の安全保障観や韓国軍の実力を信頼してはいなかったが、従北サヨクの文在寅政権誕生を確信した今春より、北朝鮮への情報漏洩を警戒して情報統制を「強化」していた。

「強化」が「一層強化」へと警戒度を上げるトリガーとなったのは8月、文在寅大統領が北朝鮮に「警告」のつもり放った戦略レベルの大舌禍であった。文大統領は大統領就任100日を迎えて行った記者会見で、恐れていた通りの無定見ブリを披露した。

「北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)を完成し、ミサイルに核弾頭を搭載して兵器化すればレッドライン(越えてはならぬ一線)に当たる」

文大統領が「レッドライン」に言及したのは初めてだったが、米国のホワイトハウスと国防総省は唖然としたらしい。そもそも、ドナルド・トランプ大統領を筆頭に、米国政府はレッドラインをあえて曖昧にする戦略に徹している。 

しかも、間の悪いことに、就任100日会見のわずか半月前、米国防総省の情報機関・国防情報局(DIA)が以下のごとく、北朝鮮の核・ミサイル開発は既に「境界越え」だとする分析を行っていた。

DIAは北保有の核弾頭数を《最大60発》と上方修正。本格的な核保有国と化すべく《境界を越えた》と指摘した。当然ながら、核弾頭の小型化が実現し、ICBMに格納できても、実戦配備には大気圏への突入技術確立が避けて通れない。

だが、DIAは北朝鮮のICBM発射実験(7月)を受けて《信頼性の高い核搭載のICBMを2018年に保有》と、従来の《20年に保有》を2年も前倒しした。文大統領の記者会見直前、日本政府も閣議了承した防衛白書で《小型化・弾頭化が実現に至っている可能性》にハッキリと触れている。

小欄も断言してきたが、北朝鮮のICBM開発は最終段階に入った。実際、7月には2段式の弾道ミサイルが2回、ロフテッド軌道(高角発射)で発射されたが、通常軌道で発射されれば射程は1万キロと分析されており、ICBMの火星14型と断定された。北朝鮮は、米国の西海岸や中西部シカゴを標的にできる実力を備えたのだ。

基本的に、レッドライン越えの後は、軍事攻撃以外に選択肢はない。だからこそ「越えてはならぬ一線」に成り得る。従って、文大統領は北朝鮮がまさにレッドラインを越えんとしている現在、次のステップたる軍事攻撃への準備を早急に進めねばならない。文大統領の「レッドライン宣言」は近々の対北攻撃敢行を予告したに等しいのである。

ところが、従北サヨク・文大統領の頭の中に経済支援や人道支援はあっても、軍事攻撃などサラサラない。現に、同じ記者会見で言っている。

「国連安全保障理事会で北朝鮮の輸出の3分の2を制限する強力な経済制裁案を全会一致で採択し、ロシアも中国も参加した。違う言い方をすれば戦争を防ぐための措置」

「朝鮮半島で二度と戦争は行わないと自信を持って言う」

「北朝鮮の挑発に対し、強い制裁と圧力を加えるとしても結局は平和的に解決しなければならない流れが『国際的な合意』。『米国とトランプ大統領の立場』も違わない」

手の内をさらけ出し、米国や日本が強力に推進している「圧力」へのヤル気の無さを披瀝し、日米の共通戦略を片っ端から無力化している。徹頭徹尾の非戦は『国際的な合意』などではなく『韓国の独善』に過ぎず、『米国とトランプ大統領の立場』とも完全に隔たりがある。もちろん、安倍晋三首相との『立場』とも大いに異なる。

本来、過去にも増して結束していかねばならぬ日米韓なのに、文大統領が口を開く度に韓国は孤立を際立たせる。日米外交筋によると、トランプ大統領は世界の指導者中、一番の信頼を置く安倍首相と公式発表されている電話会談以外にも頻繁に連絡をとり、その度に信頼感を向上させている反面、文大統領の発言の度に韓国への侮蔑を深めている。

司馬遼太郎も嘆いた韓国の「現実直視能力」

http://www.sankei.com/premium/news/171010/prm1710100008-n1.html

>>2以降に続く)