【北京=藤本欣也】共産党大会を控えた中国では、2012年にスタートした習近平総書記(国家主席)の1期目の成果を礼賛する動きが広がっている。党中央主導のキャンペーンで、習氏が毛沢東やトウ小平に劣らない指導者であることを印象づける狙いがある。

北京市内では、習指導部の5年間の成果を写真や映像、資料、模型などで紹介した大型展覧会が開催中だ。北京だけでなく地方からも参観者が訪れ、連日のにぎわいをみせている。

9月25日の開幕式で演説した劉雲山政治局常務委員は、「これらの成果の根本には、習総書記の一連の重要講話の精神と、治国理政(国家統治・政策運営)の新理念、新思想、新戦略による科学的な導きがある」と強調した。

展覧会で人気が高いのは反腐敗闘争の成果が展示されたコーナーだ。

「周永康(前中央政法委員会書記)、郭伯雄(前中央軍事委副主席)、孫政才(前重慶市党委書記)らの重大な規律違反事件を処理して、党内の政治的な災いを取り除きました…」

女性解説員が説明する中、参観者たちは、涙を流す元党幹部の写真や、ざんげの手紙などを食い入るように見つめていた。中国官製メディアは、今月13日までの来場者を延べ約48万人とアピールしている。

一方、国営中央テレビは今月5日から、党中央宣伝部などが製作した番組『初心を忘れず前進を継続』を7回にわたって放映した。1期目の習氏の実績をテーマごとに特集したものだ。

「省委書記・省長、次官級以上の高官約280人、局長級約8600人、町村トップ級約6万6千人を腐敗汚職で摘発した」

「4年間で(年収2300元=約3万9千円=以下の)貧困人口を約5564万人削減した。年平均1391万人で、2001〜10年の年平均の倍に当たる」

番組だけでなく、官製メディアの報道なども通じて、こうした習氏の「治国理政」の成果を宣伝。江沢民元総書記や胡錦濤前総書記を上回る実績を挙げた点を強調するのに躍起となっている。

http://www.sankei.com/world/news/171016/wor1710160047-n1.html

http://www.sankei.com/images/news/171016/wor1710160047-p1.jpg
北京市内の展覧会で習近平政権が進めた強軍路線の展示物に群がる人々(藤本欣也撮影)
http://www.sankei.com/images/news/171016/wor1710160047-p2.jpg
http://www.sankei.com/images/news/171016/wor1710160047-p3.jpg
http://www.sankei.com/images/news/171016/wor1710160047-p4.jpg
北京市内の展覧会で習近平政権の反腐敗闘争の資料を見学する人々(藤本欣也撮影)