韓国でコンビニエンスストアが急増している。“上陸”約30年で3万店を超え、人口当たりの店舗数は今や日本の1.5倍。増加の背景には近年、韓国で社会問題化している就職難があるようで…。

韓国の聯合ニュース電子版によると、昨年末時点でのコンビニ店舗数(上位6社)は3万4376店。人口1491人当たり1店舗のコンビニがあることになるという。今年3月末時点での日本のコンビニ店舗数は約5万6000店舗で人口約2200人当たり1店舗となり、韓国の方が多い。

韓国でコンビニがオープンしたのは1989年5月。セブン−イレブンがソウル市内に1号店を出したのが最初だった。

聯合ニュース電子版によると、「その後コンビニは消費行動の変化により、デパートや大型スーパーなどの小売業の成長が鈍化する中、1〜2人世帯の増加や急速な高齢化などを背景に『独り勝ち』を続けている」のだそうだ。

最大手は、韓国のBGFリテールが展開する「CU」。もともとはファミリーマートとして展開していたが、2012年7月末にライセンス契約が切れたことにより、「CVS for You(あなたのためのコンビニ)」からCUとなったそうで、7月末時点での店舗数は1万1949店。

次いで韓国の財閥「LGグループ」傘下でスタートした「GS25」が1万1911店舗、セブン−イレブンが8944店舗、ミニストップ2401店舗と続く。

そもそも、なぜ韓国で急速にコンビニが増えたのか。聯合ニュース電子版によると「韓国社会の就職難や雇用不安を反映」しているといい、「比較的少ない資本で独立できる上、本社の運営システムや経営ノウハウを利用でき、特別な事業経験がなくても挑戦しやすいためだ」とか。

20〜30代のオーナーが増えているというが、要は就職難で仕事がなければ、自分で商売を始めてしまえ、ということなのだろう。

CUによると、2015年の1年間にCU本社とフランチャイズ契約を結んだコンビニオーナーのうち、20代が占める割合は前年の7%から9%に、30代は24%から27%にそれぞれ拡大したそうだ。

20〜30代といえば、大学卒・大学院修了か若くして脱サラしたと思える年齢だ。一方、50代は28%から23%に減ったといい、若者の参入が増えていることが分かる。

CUだと、フランチャイズ契約を結ぶ場合の最低投資費用は2270万ウォン(約220万円)で、これに店舗の賃料などを加えると、ケースによっては5000万ウォン(約500万円)あればオーナーになれるのだそうだ。

聯合ニュース電子版によると、「コンビニ業界関係者は『多くの問題があるが、まだ店舗当たりの売り上げは日本の4分の1程度に過ぎず、1〜2人世帯の増加に伴う近距離少量購買パターンの拡大などの傾向を考えると、コンビニ市場の成長は当分持続する見通し』と話した」という。しかし、そんなに韓国のコンビニの未来は明るいのだろうか。

コンビニと並んで韓国で起業ハードルが低いのがカフェだ。コンビニと同様にフランチャイズ経営で、未経験者が参入しやすい。そのカフェはというと5年ほど前には韓国国内で数多く見られたが、今では少なくなっているという。3年続く店舗が6割で、5年以上営業している店舗は3割程度しかないという。

カフェの多くが閉店に追い込まれたのは、あまりにも多くの店舗があちらこちらにでき、似たような商品とサービスの提供で激しい競争が起きて利益が出なかったからのようだ。もちろん、数が増えれば競争が激化するのは世の常だ。

コンビニも同じ道をたどりかねない。早くもカフェと同じような状況になりつつあるとの指摘もある。店舗数が急速に増えたことで、1店舗当たりの売上高減少や経営環境の悪化などの弊害も出ている。中には同じ建物の1階と2階に別のコンビニが開店し、問題になったところもあったとか。

2店舗が同じエリア内に出店して競い合い、その相乗効果で両店の利益が向上するという話はあるが、あまりにも近すぎてつぶし合いになったのだろう。商品の価格やラインアップ、サービスにそれほど違いがなく、特色もなければ、どこで買っても同じだ。

http://www.sankei.com/premium/news/171023/prm1710230001-n1.html

>>2以降に続く)