スイス・ジュネーブで11月14日に行われる国連人権理事会の日本の人権状況審査で、基礎資料となる国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のリポートの要旨は次の通り。



・独立した国内人権機関が設置されていないことへの懸念。国内人権機関を設置し、独立した子供の権利の啓発を行うための人権保護に関する法律を採択すべきだ

・法律で人種差別に関する十分な定義がない。メディアやインターネットにおけるヘイトスピーチの増加が見られるが、全てが適切に捜査され訴追されているわけではない

・人種や国籍に基づき外国人の公的施設へのアクセスが阻害される事例への懸念。そのような事例に対する捜査や制裁、法律の効果的な適用を通じて適切な措置をとるべきだ

・東日本大震災および福島原発事故以降、避難、社会復帰および復興に関する取組においてな人々のニーズが満たされていないことへの懸念。災害対応、リスクの軽減および復興への取組に関して、人権を基軸としたアプローチを採用すべきだ

・死刑の適用が「最も重大な犯罪」に限定されていないことへの懸念を表明

・法律で拷問が定義されていないことおよび「代用監獄」における捜査中の虐待を懸念

・特定秘密保護法への懸念。開示によって安全保障を脅かさない場合には情報を秘密に指定しないよう注意を怠らず、ジャーナリストへの萎縮効果がないように法を改正するべきだ

・安全保障を脅かさない公の利益に資する情報を開示したことによる処罰が科されないように特定秘密保護法を改正し、独立した監視機関を設置すべきだ

・沖縄における抗議活動への不必要な制約およびムスリムコミュニティーへの監視の疑いに対する懸念

・第二次世界大戦中にとられた性的奴隷の慣行である慰安婦の酷使を認める措置がとられたことに留意。公に性的奴隷の犯罪に対する法的責任を認め、実行者を訴追および処罰し、被害者に完全で実効的な救済および補償を提供することにより被害者中心主義の解決を図るべく迅速で効果的な法的および行政的措置をとるよう求めた

・日本政府は慰安婦問題に関する公の議論を弱体化させているとして懸念を表明。中学校の教科書から慰安婦に関する記述が削除され、国民の知る権利が損なわれたと主張

・共謀罪法案として知られるテロ対策を目的とする組織犯罪防止法の改正への懸念

・高等学校授業料支援プログラムからの朝鮮学校の排除を含め、子供の教育を受ける権利を侵害する法律条項と政府の措置に関する懸念

・沖縄振興特別措置法や沖縄振興計画に基づき施策が実施されている一方で、琉球の人々の権利の保護に関して琉球の代表者と対話するなど十分な措置がとられていない

・独自の民族性、歴史、文化、伝統を認められているにもかかわらず、琉球の人々を先住民と認めていないことへの懸念。琉球の人々への権利の保護と促進に関する問題について琉球の代表者との対話を促進すべきだ

http://www.sankei.com/politics/news/171028/plt1710280011-n1.html
http://www.sankei.com/politics/news/171028/plt1710280011-n2.html