イラクでの戦闘中、ドッカーンという大きな音がして、爆弾の衝撃で乗っていたハンヴィー(高機動多用途装輪車両)が宙に吹っ飛んだ。
ドアを開き、逃げ出そうとして、脚が折れていることに気づき、その場に倒れた。
脚を引きずりながら、再びハンヴィーまで引き返し、出血がひどくてうめいている兵士を引きずり出した。ハンヴィーが火を噴き、あっという間に炎に包まれた。
再び地面に倒れ、みんなが車から出られたのを見てほっとした。そのとき、ハーレルソンの名を呼ぶ誰かの声が聞こえた。
それで俺は、ああ、クソ!ハーレルソン。あいつのことを忘れてた」そう叫び、見渡すと、見えたのは炎と、彼がいた運転席のところにある人の輪郭だった。ハーレルソンは、シートベルトに固定されたまま焼け死んだのだ。

「どうして俺を助けてくれなかったんだ?」

彼は、助けることができなかったハーレルソンの夢を見続けている。

また、戦争は時に異常なまでに兵士たちを興奮させる。同じく重度のPTSDとされたアダム・シューマン(28歳)は、
初期の侵攻の時には「これまででいちばんすごい映画を最前列で観ているみたいだった」「とても気に入ったね。銃撃戦でいつ撃たれるかわからない状態ってのは、最高の性的興奮を覚えるんだ」と語っている。
しかし、同じ隊にいたマイケル・エモリーが頭に銃弾を受け、血まみれになりながら助け出し、かろうじて生き残ったものの半身不随となり、一番のお気に入りだった部下を失い、
別の兵士から「あんたがいたら、こんなひでえことにはならなかったのにな」と言われ、爆弾が爆発したように体がバラバラになった。
その言葉は、いつも隠れた爆弾をめざとく見つける、勘のいいアダムをたたえた言葉だったが「お前のせいだ」「お前のせいだ」と責められているように感じ、“すっかり壊れた”。

人の心を壊してしまう戦争。一度壊れてしまった心は、なかなか戻らない。しかも、何十年たっても。戦後70年もの間、戦争をしていない平和な国・日本が、ここ最近、再び“戦争ができる国”への道を歩み出そうとしている。

戦争は一体誰のために?

これまでに戦争を行い、一体誰が得をしたのか。そもそも戦争が大成功したことなどあるのか。「戦争の後」をあらためて考えたい。