韓国のインテリア市場シェア1位を誇る大手家具メーカー「HANSSEM(ハンセム)」の社員らが、同僚女性に盗撮やレイプをしたとして、物議を醸している。

事の発端は、ハンセムの社員と名乗る女性によって書き込まれたネット上の書き込みだった。「入社前の研修中、トイレについて入ってきた同期の男性社員に盗撮された。また、入社3日目には教育担当者にホテルに連れて行かれ、レイプされた」という内容で、大きな話題になったのである。

書き込みによると、トイレ盗撮の事件では盗撮に気づいた被害者が入り口に設置された防犯カメラを確認しようしたところ、同期の男性が犯行を自白したという。

彼は「男が入ったと勘違いした。男同士でそんなイタズラをするのは普通だから」と弁解するも、そこは紛れもない女性専用トイレ。納得できなかった被害者は翌日警察に通報し、加害者の親の謝罪を受けて示談が成立した。

その盗撮事件の捜査過程で、被害者は自身の教育担当者に面倒を見てもらったという。

ところが入社3日目の夜、教育担当者から「今から会おう」という電話がかかってきた。時刻は深夜0時を回っていたが、お礼を兼ねて会うことにした被害者は彼と2人でお酒を飲む。それから深夜1時40分ごろ、そろそろタクシーで帰ろうとした被害者は、教育担当者に無理やりホテルに連れ込まれ、レイプ被害に遭った。

その後、教育担当者を強姦容疑で告訴したものの、家に訪ねてきた彼に「ナイフで刺すぞ」といった脅迫を受けたため、告訴を取り下げざるを得なかったそうだ。

前出の盗撮の加害者は会社から懲戒解雇処分を受けたという。

ただ、レイプ事件に関しては加害者の教育担当者は停職3カ月の処分を受けただけで、告訴を取り下げるなど陳述を翻したことを理由に被害者も10%の減給処分を受けた。

ところが、被害者の災難はまだまだ続く。レイプ事件を口実に今度は人事部長から連絡がきたのだ。

「昔も似たような事件があって男も女も解雇された。今回も君を解雇すれば事が済む」と脅迫まがいなことを言われた被害者は、「無理やりレイプされたが、男性の処罰は望まない」もしくは「強制的ではなかったため、男性の処罰と懲戒を望まない」の理不尽な2択を迫られた。

後日、人事部長からホテルに呼び出された被害者は、「君ってセクシーすぎるよね」「君は男が好きそうなタイプだ」などと言われながら、またもやレイプされそうになったがなんとか逃げ出す。しかし、会社からは“風紀を乱した”との理由で6ヵ月10%の減給処分を受けた。もちろん人事部長の圧力による結果なのは言うまでもない。

のちに真実が明かされたことで減給処分は取り消しになり、人事部長も懲戒解雇処分を受けたが、一連の事件で苦しみを味わった被害者は、事件を世間に知らせようと決心したのだそうだ。

■「女性が働きやすい」イメージ崩壊

「ハンセム」といえば、「女性が働きやすい企業」というイメージで知られている。

韓国メディア『毎日日報』によると、ハンセムの全職員2905人のうち、女性の比率は31%の901人(2017年6月基準)。韓国上場企業600社の女性比率が平均22.6%であることを考えればそれなりに高いほうだ。

ハンセムの本社では直営保育園を運営しており、授乳時間確保、妊娠中の社員のための短時間勤務といった“母性保護制度”を実施している。女性社員の妊娠と出産、育児に対する福利厚生が充実していることで高く評価され、女性の求職者に人気の企業だった。

しかし、今回の事件によって主な消費者である主婦を中心に「ハンセム不買運動」が巻き起こったり、株価が下落するなど、従来のイメージが崩れ落ちている。

ネット民からは「この企業の男性社員は変態や強姦魔しかいないのか」「セールイベントでこの事件をもみ消そうとしてた。最悪な企業だよ」「家にあるハンセムの家具全部捨てたい。なんか隠しカメラ入ってたりしないよね?」といった皮肉交じりの声が後を絶たない。

先日は会長自らが謝罪声明を発表するも、当分の間、消費者の信頼を取り戻すのは難しそうだ。

世界中で「#MeToo(私も傷ついた経験がある)」というハッシュタグと共にレイプ被害者の声が上がっている今、今回の事件が韓国でどう波紋を広げるか、注目したい。


2017年11月07日
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