法務府の吉河光貞検事『関東大震災の
治安回顧』(法務府審査局)



「果たして以上述べたが如き鮮人犯罪
が実際に行なわれたものであろうか。
彼ら鮮人の総ては犯行当時混乱に乗じ
て所在不明となり、あるいは自警団員
その他によって殺害されており、司法
事件としてはその真偽が全然確定され
ておらぬ状況であった。/しかも東京
地方裁判所検事局管内においては、震
災直後司法警察官の捜査が一時この種
鮮人犯罪の検挙に傾注された観あるにかかわらず、被疑事件として同検事局に送致された放火、殺人などの重大犯罪すら、その大部分が犯罪の嫌疑なきものとして不起訴処分に付されるがごとき状態であったことは注目に値する」