日本政府は7日、韓国大統領府がトランプ米大統領(71)を招いた夕食会に元慰安婦の李容洙さん(88)を招待したことに対し懸念を伝え、「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した2015年の日韓合意の着実な履行を要求した。首相周辺は「抗議と受け取ってもらっていい」と話している。その夕食会では、日本への当てつけで「独島エビ」を使った料理も出された。おもてなしの場まで反日アピールをする韓国の意図とは何なのか。

 韓国では今秋、李さんの活動から着想を得て製作された韓国映画「アイ・キャン・スピーク」が公開され、話題となっている。大統領府は李さんを映画の「主人公」として、ホワイトハウスのヒックス広報部長らと同じテーブルに招いた。

 立ち並んだ両首脳夫妻と向き合った李さんは、トランプ氏と握手後に右腕を相手の左肩付近に伸ばし、遅れてトランプ氏がこれを受け止めるように抱き止めた。李さんは周囲の目を意識したかのように後方を向いて“ハグ成功”を笑顔でアピール。ふくよかでつやつやした顔つきに、テレビを見た日本のネットユーザーからは「ずいぶん若く見える」といぶかる見方もネット発信された。

 その李さんも招かれた夕食会のメニューには、韓国の実効支配が続く島根県・竹島(韓国名・独島)近海産という「独島エビ」を使ったチャプチェ(春雨炒め)料理もあった。

 韓国事情通によると「独島エビとは、竹島周辺というか、日本海にいるホッカイエビ(通称シマエビ)、トヤマエビ(通称ボタンエビ)、イバラモエビ(通称ゴジラエビ)の3種。要は日本海でとれるすし、刺し身ネタとして、高いエビです」。日本でトランプ氏を招いて5日に開かれた夕食会では、三重県産の伊勢エビ料理が供された。

 日本政府側は元慰安婦の招待とともに「独島エビ」の件も「受け入れられない」としており、菅義偉官房長官(68)は記者会見で、韓国政府の対応に「どうかと思う。北朝鮮への対応で日米韓3か国の連携強化が求められる中、悪影響を及ぼすような動きは避ける必要がある」と指摘した。

 夕食会が歴史と領土の両面で自国の主張を宣伝する場となり、日韓関係に影を落としそうだ。韓国事情に詳しい文筆人の但馬オサム氏が語る。

「なんでも日本と比較しては一喜一憂するのが韓国ですが、今回トランプ大統領のアジア歴訪が決まったときも、日本が2泊3日なのに、韓国は1日少ない1泊2日という滞在スケジュールは『外交的冷遇ではないか』とマスコミは大騒ぎをしました。外交ルートを通して、滞在日数を日本と同じにするよう要請したものの、アメリカには断られたようです」

 さらに、トランプ氏の娘で大統領補佐官のイヴァンカ氏(36)の訪韓が突如キャンセルになったことも自尊心を大いに損ねることになっただろう。

「はっきり言ってアメリカにとっての韓国の重要度は低下の一途をたどっています。対北朝鮮包囲網を築くべく、日米韓の連携を密にしたいアメリカにとって、THAAD(高高度防衛ミサイル)配備を巡り中国の顔色をうかがい、この期に及んで親北路線に進む文在寅大統領にトランプをはじめ、米政府や軍関係者は苦り切っているというのが本音でしょう」(但馬氏)

 トランプ氏の訪韓は、文氏の対北朝鮮対応について態度をはっきりさせるよう最後のねじを巻くため以外の何物でもないだろう。それ以外の需要度の低さが、1泊という滞在日程にも表れている。それでも韓国メディアの一部は「トランプ大統領は今回の訪韓で、日本では行わなかった国会での演説を行う」という記事を発信している。

 さらにおもてなしの夕食会を領有権や慰安婦問題のアピールの場としたのだから、あきれるばかりだ。

 但馬氏は「日本からすれば、嫌がらせにしか見えませんが、これが韓国なのです。韓国では2014年のローマ法王訪韓の際も、元慰安婦を謁見させるという前科があります。日本は永遠の加害者であり、加害者は被害者(韓国)の道徳的下位にあるというのが、韓国式序列文化です。滞在時間では負けたが、道徳的優位性では日本に勝っている、それを米大統領に示す――。日本人には理解不能ですが、彼らの特異な精神構造では、これは普通のことのようです」と話した。


2017年11月09日 07時30分 東スポWeb
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