【コラム】トランプ来韓、日本との比較ばかりで国益は守れるのか

 「失敗した首脳会談はない」――。韓国訪問を終え、中国へと発ったトランプ米大統領を眺めつつ浮かんだ外交の俗説だ。首脳会談は分単位、秒単位の日程まで調整を重ねる。会談で取り上げる議題と発言のレベル、表現もだいたい事前に話し合っておくのが外交慣例だ。サプライズ日程、即席の合意は首脳会談の劇的効果を高めるための政治にすぎない。事前に公表されなかったというだけであって、予定になかったことが起きるケースはほとんどない。

 そうした観点からみて、25時間余りのトランプ大統領の訪韓は、韓米間で細かく調整された外交イベントだった。トランプ大統領の訪韓は12日に及ぶアジア歴訪の一環だった。日本を皮切りに韓国、中国を訪れるという順序だ。米メディアによると、トランプ大統領にとって最も気楽な訪問先は日本であり、重要度が最も高いのは中国だ。ただ、韓国が「最も難しい会談になる」と予想する専門家もかなりいた。キャンベル元米国務次官補が代表例だ。

 しかし、今回の韓米首脳会談は困難な問題を話し合うには絶対的に時間が不足していた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領とトランプ大統領による会談時間は合計しても55分だった。単独会談が25分、閣僚と補佐官が同席した拡大会談が30分だった。大統領府(青瓦台)の敷地を散策した5分余りを含めても、両首脳が本格的な対話を行った時間は1時間ほどだった。その結果なのか、韓米首脳会談の最大の懸案だった北朝鮮の核問題について示されたアプローチは、既存の立場を再確認する水準にとどまった。

朴斗植(パク・トゥシク)編集局副局長
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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