>>611
俺が『日本的私小説SF』と評価してる、伊藤計劃代表作のひとつ。
同テーマの『ハーモニー』と並び、本読みなら最早必読くらいオススメw
SF好きも純文学系好きもそれぞれの観点で読める、『エンタメ』と『文学性』の共存という離れ業。
海外だとP.K.ディックがそんな感じで読めるが、あんなに視点達観してないウェッティーな感じがむしろ日本人好みだと思う。
このスタイルが確立し、もっと長寿で多作であれば、伊藤計劃は日本SFの手塚治虫になったかも知れないとくらい俺は評価してるぞw
しかし、惜しすぎる才能を亡くした・・・。
伊藤計劃死去は、マジで数十年から百年分の文化的損失だったと未だに思っている。

ま、ネタバレにならないよう、結構抽象的にテーマだけ。
テーマは『カードの表裏としての希望/絶望』。
更に補足すると、視点はあくまで『わたしにとっての』。
哲学好みが強くなりがちな欧米だと、こういうのは視点がドライなの多いが、これはかなり主観的、つーか『自分語り』。
その作風が如何にも日本文学っぽく、伊藤のオリジナリティになっていると思うんだ。
正真正銘『日本文学者』が書いた本格SF。
さっき俺が言った、『伊藤は日本SFの手塚治虫になりそこねた』という持論の所以。
ま、そのテーマがより露骨に現れるのは、むしろ『ハーモニー』の方だけどw


因みにアニメは観てないが、他のアニメ化作品を観る限り期待できなそうw