>>139
現状認識@
北朝鮮は現時点で米本土を攻撃可能なICBMを完成させていない。
また、極少数のIRBMは固定発射式で、米軍の先制攻撃が行われた場合には先制第一波で撃破されると考えられ、グアムやハワイ等の米領土に
対する核報復能力はゼロに等しいものと考えられる。

米本土に対する核報復能力を北朝鮮が保有していない、つまり核抑止が成立していない今の段階で
北朝鮮の核ユニットを無力化する(つまり先制攻撃する)ことは、将来のアメリカが直面する安全保障リスクを解消ないし、低減させる期待利益がある。
この利益は米国が北朝鮮を先制攻撃する強い動機となるだろう。

現状認識A
しかし、TEL化されたSRBMとMRBMはアメリカが先制核攻撃を行った場合においても過半数が生存すると考えられ、
韓国と日本及び極東米軍に対する核報復のリスクは、排除できないものと考えられる。
すなわち北朝鮮は在日在韓米軍基地及び、同盟国の日本と韓国に対しての核報復能力を保持し、
不完全ながらも限定的な核抑止力を保持しているものと断定できる。

以上の@とAを前提として考察

【仮説A】
アメリカが北朝鮮を先制攻撃するなら、@の期待価値がAのリスクを上回ると判断した場合であるが、
Aのリスクを許容する必要がある。すなわち、在日在韓米軍基地や滞在米国人に対する、核報復を前提とした保護措置を担保する必要がある。
しかし、核実験&ミサイル実験で米朝関係が最も緊張化した3〜5月の期間においても、米国人の韓国と日本への渡航禁止勧告や国外避難勧告、
在日米軍家族の日本からの避難措置が出されなかったうえ、米空母打撃群もMRBMのパワープロジェクションの外方に待避しなかったことから、
一連の緊張状態化においても開戦段階までのエスカレーション化には全く至っていないものと推定できる。
米は開戦段階へのエスカレーション化を考慮に入れつつも、現実はAのリスクが過大で、北の報復攻撃の損害を許容することが出来ないというのが真理であろう。