平昌(ピョンチャン)冬季オリンピックが目前に迫る5月、東京で開かれた「韓国観光の夜」行事で「記事を書くべきかどうか」悩んだことを改めて思い出す。韓国観光公社が最高級ホテルで日本のジャーナリスト、旅行業関係者など250人余りを招待し、平昌を広報する席だった。

招待客のトップは二階俊博、自民党幹事長。与党自民党の第2人者であり、日本全国旅行業協会(ANTA)会長だ。韓国と中国にしばしば親近感を見せることで有名な彼が挨拶の言葉の途中で突然、苦しい内心を表わした。

「みなさんは度々、日本人は平昌オリンピックに来るべきだと言うが、『謝罪せよ』という言葉を止めれば行きます。日本人はこの頃、韓国に行くこと恐れます。せっかくお金や時間をかけて行っても『謝罪せよ』という声を聞くのです。それをしない、という約束さえすれば私も平昌訪問キャンペーンに一肌脱ぎます。」

韓国の読者を刺激する発言だが、この報道は国益の次元で百害無益だと思った。日本で初めて、多くの費用をかけて平昌を広報する席に冷水を浴びせかねなかった。この発言は日本人の内心をよく表わした言葉でもある。

昨年、日本を訪れた韓国人は509万人、韓国を訪れた日本人は230万人だ。今年は訪日韓国人が700万人を越えると見られる。統計を見れば、訪日韓国人より多い訪韓日本人数が逆転し始めたのは2012年。その年8月、当時の李明博(イ・ミョンバク)大統領の独島(ドクト、日本名:竹島)訪問と続いた日王冒とく性発言が日本国内を反韓感情に追いやった。その年の12月、安倍晋三政権が再誕生した背景にこれが大きく影響したと見る人も少なくない。

最近、韓国政府は安倍総理に平昌オリンピックに来て欲しいと多角的に要請している。安倍総理も日本が議長国の韓中日首脳会議の成功のためにも韓国に背は向けない姿勢が見られる。しかし、普通の日本の人々の考えは大きく変わらないようだ。観光公社がいくら日本全国を回って平昌広報に努めても、「韓国人は日本を嫌っている」と考えたり、場合によっては韓国に行って辱めを受けることを憂慮する日本人がどんどん増えている。

あちこちに慰安婦少女像を立て、少女像を乗せたバスがソウル市内を走り回る韓国で日本人が歓迎されることを期待するのは難しい。これに北朝鮮の核・ミサイル脅威まで重なり、安全に敏感な日本人としては行かない理由が多いだろう。

これまで一部の日本メディアが文在寅(ムン・ジェイン)政権を「反日」と断定することについて、政府は「一部の国民感情があったりするが政府の意志ではない」として抗議性の説明をしてきた。しかし、最近、韓国政府がやっていることを見れば、これ以上この様な説明ができるのか疑わしい。

政府はドナルド・トランプ米国大統領の国賓晩餐で独島エビを出して、慰安婦ハルモニと抱擁する場面を演出した。韓米関係を議論する席にあえて第3国である日本を刺激する素材を挟んで入れる必要があったのだろうか。「日本侮辱」の人気戦略(ポピュリズム)で米国大統領を脇役にしたてたという「誤解」を呼びかねない。

大統領府にも外交部にも儀式専門部署がある。しかし、専門家たちがこの様な状況を演出したはずはないので、さらに上層部からの介入を疑うほかはない。意図しようがしまいが政府が韓日葛藤を助長しているという非難を聞いても仕方ない状況だ。彼らは果たして4カ月後、日本の総理を平昌オリンピック開幕式の貴賓席に招かなければならないと考えてはいたのか。さらに進んで外国人も一国家の一級儀式を国内政治に活用することを寛容に理解してくれると期待する、ということだろうか。

ソ・ヨンア東京特派員
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ソース:東亜日報(韓国語) [今日と明日/ソ・ヨンア]外交儀式は「国内用」でない
http://news.donga.com/Main/3/all/20171206/87599947/1