◆「属国扱い」で大騒ぎ

「中国の属国扱いされた」と韓国人が怒っている、という話で前回は終わりました。

鈴置:ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)との会見でトランプ(Donald Trump)大統領が「韓国は歴史的に中国の一部だった」と語りました。「WSJ Trump Interview Excerpts: China, North Korea, Ex-Im Bank, Obamacare, Bannon, More」(4月12日、英語版)です。
韓国が豊かになるほどに「我が国はずうっと独立国だった」と思いたくなったのです。「系図買い」の心境です。

だから日本の植民地支配も「なかったこと」にしようと「あれは日本の不法占拠だった」と強調し始めたのです。

もう1つは中国が再び強くなるに連れ、その言うことに逆らえなくなったことです。「属国に戻りつつある」と内心忸怩たるものがあるからこそ「昔は属国だった」と指摘されると、逆切れするのです。

米中が対立する案件の多くで、同盟国の米国ではなく中国の言いなりになる(「米中星取表」参照)。そんな韓国を見て、米国人が首を傾げます。「世界最強の同盟国をないがしろにして、何であんな非民主主義国にゴマをするのか」というわけです。
641 :名無的発言者:2017/05/09(火) 18:19:34.36 ID:W/kPAv+nf[4/10]
 彼らに「冊封体制」下の人々の旧・宗主国への恐怖心を説明すると、ようやく疑問が解けたという顔をします。トランプ大統領がWSJにわざわざ「韓国は中国の一部だった」と語ったのも、そんな納得感からかもしれません。
 なお、ベトナム人には韓国人のような鬱屈はありません。ベトナムの王朝も中国の王朝に朝貢したことがありましたが、戦争でしばしば勝ったからです。最近では中越戦争(1979年)で、中国の侵略軍を散々に打ち負かしました。
 中国人も「ベトナムは属国だった」などと下には見ません。そんなことを言えば「属国に負けたのか」と笑われてしまうからです。
韓国人は「本当のことを言ってしまった」トランプ大統領に不信感を持ったでしょうね。

鈴置:不信感は膨らむ一方です。「トランプの暴言」がその後も続いたからです。トランプ大統領は4月27日、ロイターに対し「韓国政府はTHAAD(=サード、地上配備型ミサイル迎撃システム)の代金として10億ドル(約1100億円)払うべきだ」と語りました。

記事は「Exclusive: Trump vows to fix or scrap South Korea trade deal, wants missile system payment」(4月28日、英語版)です。