中国では近年、荒唐無稽な内容の抗日ドラマが問題となっている。中国側の兵士が手刀で日本兵を切り裂いたり、手榴弾で戦闘機を撃ち落としたりと、現実的にはありえない描写に対し、中国では批判の声も根強い。

こうした内容の抗日ドラマは「抗日神劇」と揶揄(やゆ)されているが、実際に日本と戦った経歴を持つ中国人は抗日神劇をどのようにとらえているのだろうか。

中国メディアの今日頭条はこのほど、1917年生まれで抗日戦争にも参加したという中国人が「すべてデタラメの抗日ドラマは一度も視聴したことがない」と批判していることを紹介した。

記事は、中国国内で放送されている荒唐無稽な抗日ドラマについては、中国共産党機関紙である人民日報も社説で「抗日ドラマは娯楽作品に成り下がった」と批判を展開したことがあると伝えつつ、「2017年で100歳を迎えた中国の老兵」も同じく批判していると紹介。記事で紹介されている老兵は1940年に共産党軍に加わり、日本とも戦った経歴を持つという。

続けて、この老兵の見解として「旧日本軍が抗日神劇で描かれているように軟弱だったら、共産党軍はなぜ多くの犠牲を出し、抗日戦争はなぜ何年も続いたのか」と疑問を投げかけた。さらに、この老兵は「抗日ドラマは内容がデタラメであるため、一度も見たことがない」と述べていることを紹介。

このまま抗日ドラマのエンタメ化が進めば、いずれ子どもたちが「大笑いしながら抗日ドラマを見るような時代が来る」と伝え、これでは戦争の残酷さなどを伝えることはできないと伝えている。


2017-12-20 14:12
http://news.searchina.net/id/1650168?page=1