韓国訪問の要件緩和で「在日朝鮮人」は消滅へ向かうか
高英起 | デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
12/23(土) 11:15

東京・千代田区にある在日本朝鮮人総連合会の中央本部(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

韓国政府は22日の在外同胞政策委員会で、在日コリアンのうち「朝鮮籍」を持つ人が韓国を自由に訪問できるよう制度を改善する方針を決めた。過去に同様の施策がとられた際には、朝鮮籍から韓国籍への変更が一気に進んだ経緯があり、在日コリアンの人口動態がどうなるか興味深い。

保守政権が渡航制限

朝鮮籍の人が韓国を訪問するためには、同国外務省が発行する「旅行証明書」が必要だ。今後は同証明書の発給要件が緩和され、審査期間も短縮される。

聯合ニュースによれば、盧武鉉政権時代に100%近かった旅行証明書の発給率は、朴槿恵政権だった昨年、過去最低の34.6%まで低下していた。李明博・朴槿恵と続いた保守政権が朝鮮籍の人を、北朝鮮を支持・礼賛する在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)と同一視していたためという。

文在寅大統領は今年8月15日の光復節(日本による植民地支配からの解放日)の記念式典演説で、「在日同胞は国籍を問わず、人道主義の面から故郷訪問を正常化する」と表明していた。

10分の1に

聯合ニュースによれば、朝鮮籍の在日コリアンの数は現在、3万人ほどだという。これに対し、韓国籍は昨年末の時点で約45万3000人(法務省入国管理局調べ)いる。ただ韓国籍の方は、最近日本へ来たばかりの留学生やビジネスマンも多数含まれており、戦前に来た人とその子孫――旧来のいわゆる「在日」は30万人ほどだ。

ちなみに1980年代までは、朝鮮籍も10万人単位で存在していた。当時は、在日コリアン全体の数が約70万人だった。韓国籍と朝鮮籍の内訳がどうなっていたか、法務省もデータを出していないのだが、概ね韓国籍6に対し朝鮮籍が4ほどの比率だったはずだ。当時から比べ、朝鮮籍は10分の1ほどに減ったことになる。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kohyoungki/20171223-00079618/