■内閣総理制で運営されている日本政府の構造上、日本文部科学省が慰安婦の強制性を認めていない瞬間から、慰安婦合意は破棄されたものだった。世論が反発するかどうかを問わず、韓国は日本にむしろ「合意を破ったのは日本」という主張をすべきだった。慰安婦合意の本質は、日本政府の謝罪表明と韓国財団との協力を通じた被害者の名誉及び尊厳回復や創傷治癒のための「適切な措置」にあるからだ。しかし、韓国内部で合意を置いて被害者の意見収斂の過程をめぐる議論が起き、問題である慰安婦合意の本質についての議論自体は十分に行われなかった。

慰安婦論議の「本質」を見抜けなかった大韓民国の学界とマスコミの現状も一役買っている。慰安婦合意後に、一部の教授は意気投合して軍の関与によって慰安婦が強制的に動員されたことを証明する文書を公開した。しかし、日本政府が否定するのは、慰安婦制度の強制性がないだけでなく、資料が「最初」に公開されたものがなかった。 2015年に研究所所長が初めて発見した「日本軍の慰安所介入を証明する資料」は、河野談話と村山談話を経て用意された、アジア女性基金(AWJ)が公開した資料であった。匿名を要求した外交専門家は、「今日の慰安婦研究資料の90%が日本の学者たちによって発掘されたもの」、「過去20年間、日本主導で慰安婦被害に対する談話が形成されたため、私たちの意見が困難なのが事実」と指摘した。

■日本政府は慰安婦制度には「強制性」がなく、慰安婦の「強制連行」を否定している。 「強制連行」の定義は、2007年、安倍内閣が閣議決定した議会答弁書にそのまま反映されている。日本政府は強制連行を「人拐い」、すなわち直接的な拉致と規定して就職詐欺・風俗店のオーナーによる間接的な拉致などによる慰安婦募集の実態が日本軍による強制連行を意味しないと主張した。

慰安婦問題の本質は、慰安婦という強制的な制度が植民地支配女性の人権を無惨に踏みにじったことにある。したがって、「強制連行」ではなく、制度の「強制性」だけでも日本は謝罪と賠償をする責任がある。チョジンク高麗大学平和と民主主義研究所研究教授は、「慰安婦被害者たちの名誉と尊厳回復のために、最終的にどのような事業をしていくのかによって、合意の結果が異なる可能性がある」、「今日の慰安婦合意問題に接する視点は、本末転倒した形」と指摘した。続いて「政府の継続性という面で合意破棄と再交渉は事実上困難な点を認知して、TFはどこで本末転倒したのか把握し、日本に何を要求できるのか整理しなければならない」と付け加えた。

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