村本は「武器持って、相手を殺してまで守ること」に嫌悪感を持っている
山岡荘八の異本太閤記に、秀吉が鉄砲鍛冶にいわゆる「抑止力による安全」を説く場面がある

鉄砲鍛冶は「鉄砲は人を沢山殺す道具だから作りたくない」と言う
秀吉は「たくさんの人が死ぬのが嫌なら、尚更お前は作らねばならん」と言う
その理由は「ならず者が境を侵して攻めてくる。そこに鉄砲をぶっ放せば2〜3人は死のうか」
鉄砲鍛冶は「それみろ!だから嫌なんじゃ」と返すが秀吉は一喝して続ける
「敵も阿呆ではないからみすみす殺されるために攻めては来ぬ。多くの鉄砲があるならなおさらじゃ」
畳み掛けるように「お前が作るのは故なくして死ぬ命を救う殺生禁止の武器じゃ」と説く
これで鉄砲鍛冶は得心して鉄砲づくりを始めることになる

平和を唱えても人は死ぬ、人の心、価値観は一つになれない
だから安全を考える、これは人々が歴史の中でもずっと使ってきた知恵の一貫なんだよ