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日本における介護分野の人手不足は深刻だ。誰がこの仕事を担うのか――同じ東アジアで、この問題でひとつの解を見出そうとしている国がある。それが台湾だ。インドネシアやフィリピンなどから家庭滞在型の介護人材を積極的に受け入れ、いまやその数は20万人を大きく超える。社会全体が「外国人と共に生きる」ことを選択した台湾は、日本の未来を考える教材だ。(ジャーナリスト・野嶋剛/Yahoo!ニュース 特集編集部)

中略

台湾社会も外国人を排除するのではなく、いかに受け入れるか知恵を絞るようになった。いま、各都市のなかで、週末ごとに外国人たちが集まって会話を楽しめる場所がある。その代表格が台北駅だ。

外国人労働者たちには週に1日の休みがある。日曜日になると、手製の自国料理などを持ち寄って、お昼前ごろから中央のロビーの広大なスペースに陣取って夕方まで延々と語り合い続ける。この光景をみて「なぜ、駅当局は追い出さないのだろうか」と疑問が湧く人がいるかもしれない。

台北駅は「他の乗客に迷惑がかからない形であれば、特段、排除するような措置はとっておりません」と言う。駅の利用者たちも気にした様子はなく、その脇をよけながら歩いている。

この状況に至るまでにはちょっとした経緯もあった。

2008年、台北駅に集まっている外国人について、地元紙が「ロビーが占拠された」とネガティブに報じた。それに対して、「排斥的な報道はよくない」といった批判が集まり、駅側もロビーにあったベンチを取り払うなど、外国人が集まりやすいように配慮した。

私が驚かされたのは外国人が高齢者を連れてきていることだ。要介護の人々からは目を離すことができない。休日とはいえ、家族が介護できないこともある。その場合、外国人が高齢者を同胞の集まる場所に連れてきて、面倒をみながら楽しいひと時を過ごしているのである。

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