【社説】
ニッポンの大問題 半島危機打開めざせ

2018年1月6日

 韓国で開かれる平昌(ピョンチャン)冬季五輪を契機に、韓国と北朝鮮の南北対話が約二年ぶりに開かれます。朝鮮半島で続く危機打開の一歩にしなくてはなりません。

 五輪会場となる平昌は、北朝鮮に近い韓国北部江原道(道は県に相当)にあります。先月ソウルと会場をつなぐ高速鉄道が開通し、約一時間半で行けるようになりました。二月九日から二十五日までさまざまな競技が開かれます。

 ただ昨年来、北朝鮮が核やミサイル実験を繰り返したこともあって、五輪への関心はいまひとつ。「危険なことが起きるのではないか」と、行くのをためらう人も少なくありませんでした。

◆狙いは韓国取り込み

 そこに北朝鮮のトップである金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が、一月一日の「新年の辞」で、平昌五輪の意義を認め、「北朝鮮も代表団の派遣の用意がある」と明言したのです。韓国側も、さぞほっとしたことでしょう。

 さっそく文在寅(ムンジェイン)大統領が歓迎コメントを発表し、韓国側が九日に高官会談を行うことを提案したことからも分かります。北朝鮮も、この提案を受け入れました。

 思い返すと昨年、東アジアは北朝鮮に振り回されました。弾道ミサイルの発射は年間十五回。九月には大陸間弾道ミサイル(ICBM)搭載用の核実験も強行し、「核戦力完成」を宣言しました。

 これに対して、国連の安全保障理事会は、十回目の対北朝鮮制裁決議を出しています。一つの国に、これだけ多くの制裁決議が出されたことは、かつてありませんでした。

 制裁は厳しくなっています。北朝鮮の市民生活や軍の活動を支える石油は、厳しい輸出制限がかけられました。外貨稼ぎのため、世界に派遣されている出稼ぎ労働者に対しても、二年以内の帰国を求めています。北朝鮮の経済に、制裁が重くのしかかっているのは間違いありません。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018010602000156.html