何百年も続く交流素直に今も共有したい
福島みずほ氏(社会民主党副党首)

 日本と韓国は隣国であり、日本による植民地支配の時期はあったが、何百年にもわたる緊密な文化的交流をもってきた。日本の中にも多くの「在日」がいるわけだから、もっと友好関係が進むようにと願っている。

 私は韓国ドラマの階伯(ケベク)やトンイ、許浚(ホジュン)などを観て、朝鮮王朝史を知り、百済の扶余に行ったことがある。また、仏像を鑑賞するのが好きで、飛鳥時代の弥勒菩薩と百済の弥勒菩薩が非常に似ていることを知った。同じ人物が作ったかどうかはわからないが、極めて緊密な関係があったのではないかと思う。今度は慶州に行ってみようと思うが、日本の仏教や仏像、いろいろな文化が朝鮮半島からの影響を受けていることを大事にしたい。

 今の天皇が、「桓武天皇の生母が百済の王様の子孫であると『続日本記』に記されていることに、『韓国とのゆかりを感じている』と『ゆかり発言』をされた事実も大きい。朝鮮通信使も室町時代に始まり江戸時代にも続いた。鎖国の時代に、オランダとの交流が出島であったと聞いているが、朝鮮通信使がずっと続き、日本の各地域でいろんなことを日本人に教えたり、深い交流があった。日韓は植民地時代の不幸な歴史をどう克服するかという問題があるが、何百年の交流という長い月日と文化的な交流や人材交流の事実を日本の中で共有していきたい。

 日韓関係を厳しくしているのは、歴史認識であり、日本はそれを克服していかなければならない。私の祖父母は米国に移民して、父はハワイで生まれた。祖父が病死したため、父は赤ちゃんの時に日本に戻って来たが、祖父の弟は「強制収容所」に入れられた。私はスミソニアン博物館で日系米人と米国憲法という展示を90年代に見たことがある。

 国と国との間が緊張関係に陥れば、外国人が緊張関係に置かれる。その意味でも、日本と韓国が対話ができるような関係をつくっていけるような努力をしたい。差別、排外主義が人の心に巣くって広がっていくことは、絶対によくない。日系米人は何も問題がなかったのに、スパイだとか、敵性外国人だというヒステリックな動きの中で収容所に入れられた。いわれなき差別と偏見だが、日本でもそういう排外主義や差別が広がらないように、政治の場も重要だ。

 韓国の文化や映画、音楽が好きと言う人も多いので、民間レベルなど様々な場面で乗り越えていきたい。日韓は最も近い国だから、在日とも韓国からの留学生とも若い世代の交流を進めていきたい。韓国の労働運動や脱原発運動など、ソウル市長が非常に斬新な活動をされていることに、日本の市民も関心が高いと思う。以前に韓国の脱原発運動団体が主催する勉強会に出席したが、韓国自身はいろんな施策をやっている。ソウル市も非正規雇用を正規雇用に変えていこうとしている、給付型奨学金のことも聞いている。女性省があり、男女平等に関して前進させていこうとしている。

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