今日の西側諸国の体制は民主主義である。つまり国民主権である。ここにおいては、主要政策は選挙後変更されることは十分に想定される。
特に政権交代があったときはそうである。

 例えば米国のトランプ大統領を見てみよう。トランプ大統領は政権発足第1日目にTPP
(環太平洋経済連携協定)からの離脱を表明した。これに対して、TPP関係国から「これまで米国はTPPにコミットしてきたから、
離脱はけしからん」という声はない。1月10日、ロイター通信は「複数のカナダ政府関係者の話として、米国が近くNAFTAからの
離脱を発表するとの見通しを述べた」と報じた。カナダ側に「離脱は賢明な策ではない」という議論はあっても、
「米国は条約に署名したのだ。その条約から離脱するのはけしからん」という議論はない。
 
同様に英国はEUから離脱する方針を国民投票の後、決定した。「英国がEUから離脱するのは賢明でない」という議論があっても、
EUが「いったん結んだ条約から離脱するのはけしからん」と英国を非難することはない。

こうした民主主義国家間の合意の順守の在り様を見ると、新しい政権の誕生後、国民の関心の高い問題で、
新政権が方針を変えることは異常ではなくて、むしろ十分存在するものである。特に日韓合意は条約でもなく、
外相間で文書に署名を得たものでもない。新政権がこの合意から離れるのは十分にあり得ることである。

こうした論に対して、韓国の尹外交部長官は15年の合意発表の際に「この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」
と述べたではないかとの論があろう。「この問題が最終的かつ不可逆的に解決される」と実現不可能なことを述べた尹外交部長官の責任はある。

しかし、そのことは新方針を出す新政権を咎める口実にはならない。「この問題が最終的かつ不可逆的に解決される」というできないことを、
あたかもできるふりをした両国政府の責任である。

 ちなみに韓国の新方針を各国の外務大臣や外交関係者、国際法関係者、
国際関係学者に見せて、「韓国って異常ですよね」と聞いて回ったとして、「その通り」と同意する人はほとんどいない。

逆に、「合意は国と国との約束で、これを守ることは国際的かつ普遍的な原則だ。韓国側が一方的にさらなる措置を求めることは、
まったく受け入れることはできない」と息巻く安倍首相が異常なのである。そしてさらに、

この異常さを指摘する声がほとんど聞かれない日本という社会も、相当深刻な異常段階に入っていることを認識すべきだ。

(文=孫崎享/評論家、元外務省国際情報局長)

ソース ビジネスジャーナル 記事の一部抜粋
http://biz-journal.jp/2018/01/post_22002_3.html
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