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瞿氏は、「訪日直前の7月7日に第1次田中内閣が誕生した。東京で接触した大平外相は孫団長に『わしは田中の盟友。何でも言ってくれ』と胸をたたいた。これぞ『天時地利人和』だと感じた」と振り返った。
 「天時地利人和」とは中国古代の思想家、孟子の言葉。「天の時」は田中内閣誕生のタイミング、「地の利」は日本における水面下の交渉、「人の和」は親中派の田中首相らの存在を指す。3要素がそろい、交渉が順調に進んだという。
 瞿氏は「日本が戦後、軍国主義を復活させないかどうか、毛沢東は50年代から慎重に見極めようとしていた」と明かした。毛氏が判断する材料のひとつに使ったのが日本映画だった。
 毛氏は水面下で入手した日本映画を上海で瞿氏らに極秘で翻訳させ、吹き替え版を北京に届けさせた。敗戦を描いた「日本のいちばん長い日」(67年版)や寅さんシリーズ、高倉健出演の映画など、70年代にかけてその数、数十本に上った。
 瞿氏は「毛沢東の発想は実に面白く、抗日戦争も含め『日本は先生だ』と話していた」と証言した。映画に描かれた日本人の言動や戦後の考え方から、「軍国主義の復活はないと判断して、日本との国交正常化を急がせた」とみている。
毛氏が日本映画をひそかに鑑賞していたことは、これまであまり語られていない。
●=王へんに旋