インターネットやソソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の顔写真や共和国旗(北朝鮮国旗)を燃やす動画が拡散している。主に20−30代の韓国人が自身の顔をさらけ出して自ら撮影したものだ。

「(沈没した貨客船)セウォル号デモで太極旗(韓国国旗)を燃やした若者は無罪なのに、共和国旗を燃やしたからという理由で捜査するとは、ここは韓国なのか北朝鮮なのか」という書き込みもある。

これらの動画は、北朝鮮の玄松月(ヒョン・ソンウォル)三池淵管弦楽団団長が今月22日に訪韓した際、ソウル駅で金正恩委員長の写真と共和国旗を燃やした人物らを対象に、警察が捜査に着手したことから、それに対する抗議の意思表示として始まった。

20−30代の賛同者が増え、26日にネット上などにアップロードされた「金正恩写真火あぶり」の動画は100本を超えた。

大学生・会社員・主婦を自称する人物たちは、これらの動画で「金正恩の写真を燃やすのは誰に対する名誉毀損(きそん)なのか」「セウォル号デモで太極旗を燃やした20代の若者が無罪だったのに、共和国旗を燃やしたら処罰するのか」と訴えている。

専門家は「このような現象は20−30代の間に広がっている反北朝鮮感情の拡大と無関係ではない」と分析している。この日発表された調査機関「韓国ギャラップ」の1月第4週世論調査で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持率は64%と前週より3ポイント下がった。

特に20代では前週の75%から7ポイント、30代では前週の82%から1ポイントダウンしている。「文大統領の職務遂行は間違っている」と答えた回答者(全体の27%)はその理由として「平昌五輪の南北合同チーム結成・同時入場」(25%)、「報復政治」(14%)、「北朝鮮寄りの傾向」(9%)、「経済・民生問題の解決不足」(6%)などを挙げた。

「平昌五輪南北合同チーム結成」をマイナス評価の理由に挙げていた回答者は前週5%だったので、それに比べ20ポイントも上がったことになる。南北接触の過程で傍若無人ぶりを見せた北朝鮮に対する不満だけでなく、韓国政府が南北合同チーム結成をゴリ押ししたとの批判もあるものと見られる。

一方、与党関係者はこの現象に対して別の見方をしている。京畿道城南市の李在明(イ・ジェミョン)市長はラジオ番組で「若い世代は『あえて南北統一をする必要があるのか』という考えが多いようだが、それは、9年間にわたる保守政権で統一コストの話ばかりし、統一により韓国が得られる利益の話は全くしてこなかったからだ」と言った。

与党「共に民主党」のキム・ヒョン報道官は「20−30代は保守政権や保守系メディアが作った反北朝鮮の枠に閉じ込められている」と述べた。また、同党の諸閏景(チェ・ユンギョン)院内報道官は「南北合同チームが平和に寄与する価値を確認すれば違ってくるだろう」と語った。

だが、与党内部からも「『公正さ』という観点から金正恩委員長を見つめる20−30代の感情を見過ごしてはならない」と懸念する声が上がっている。


2018/01/27 10:00
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/01/27/2018012700435.html
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※動画
https://www.youtube.com/watch?v=-lh3tTZeMp8