2018年2月2日、大勢の中国人が海外旅行に出掛ける春節(旧正月、今年は2月16日)を控え、中国当局が格安航空会社(LCC)を利用する観光客に注意を喚起している。成田空港でLCC欠航に怒った中国人客が国歌を合唱し抗議したトラブルが念頭にあるとみられ、過度の要求を避けるよう求めるなど、マナー向上に躍起だ。

中国メディアによると、成田空港では1月24日夜、上海浦東行きのジェットスター航空35便が到着地の悪天候で欠航。乗客180人のうち、自ら空港を離れた日本人客5人を除く中国人客175人が搭乗エリアにとどまっていた。

エリアが規定で午後11時に閉鎖されるという中国語の説明がないまま航空会社から退去を求められ、航空会社によるその後の手配が得られなかったため、一部の中国人客が抗議。こうした中、中国人客の1人が航空会社職員ともみ合いになり、警察官がこの乗客を連行すると、現場にいた他の中国人客らが中国国歌を歌い抗議したという。

このトラブルについて在日中国大使館は「民族間対立を招くことにつながり不適切だ」と反応。空港当局や航空会社側と対応を協議する一方、公式サイトで「LCCは低コストによる運営が行われており、事前に乗客との間で免責に関する合意を取り交わしている」として、アクシデント発生時の冷静な対応を訴えた。

中国外務省は中国版LINE「微信」の公式アカウントを通じたメッセージで、「LCCは遅延や欠航の際も一般的に食事や宿を無償提供しない。過激な方法で約款を超えた要求をしないように」と呼び掛けた。

中国国家観光局も旅行の際には航空会社を慎重に選ぶようアドバイス。特にLCCの場合、あらかじめ免責事項が盛り込まれた契約を乗客と取り交わすことが往々にしてあり、航空券を購入する際には、航空券に記載されている条項を細かくチェックするよう促している。

成田空港でのトラブルに関して、中国共産党中央委員会機関紙・人民日報系の環球時報は「国を愛しているならルールを守ろう」との記事を掲載。

「一見、中国人乗客が日本で著しく不公平な扱いを受けて自尊心が傷つけられたように思えるが、航空会社と乗客との間で発生した普通のトラブルであり、歴史問題や国、民族の感情とはちっとも関係がなかったことに気付く」と指摘した。その上で「あくまで民事の小さなトラブルにすぎず、民族主義に関わる大問題にまで昇華させるには及ばない」と苦言を呈している。

北京青年報が伝えた「2018春節黄金週旅行趨勢報告」によると、1月16日現在の予約状況で春節期間中の人気海外旅行先は1位タイ、2位日本、3位米国。フランス、ベトナム、シンガポール、オーストラリア、フィリピン、マレーシア、インドネシアが続く。これらの中にはLCCが運航している国も少なくない。


2018年2月4日(日) 9時50分
http://www.recordchina.co.jp/b213051-s0-c30.html