数年後、政府の移民政策により日本には大量の外国人があふれ、日本人と来日外国人のパワーバランスは逆転していた
日本は外国人により統治され、今まで散々彼らに搾取や差別をしてきた日本人は排斥の対象になり、今日もいたるところでジャップハンティングが行われていた

とうとうネトウヨも追いつめられ、引きこもって何の運動もしてこなかったヒョロヒョロの体ではもう一歩も逃げることは出来なくなっていた
何年も太陽を浴びてなかった青白い顔が更に青くなり、ガリガリの頬骨に涙がつたう・・・
「か、勘弁してくださいっ・・・ううう・・・」数年ぶりに勇気を持って発した日本語は虚しく空に消える

「ああ?何言ってるかわかんねえんだよ?」「ヒャヒャヒャ、ほら逃げろ逃げろ日本人さんよ〜?w」「おとなしくアタイのボウガンの的になりなよw」
中国語、ベトナム語、アラビア語、タガログ語、様々な言語で罵倒が続く。
ネトウヨには狩猟者たちが何を言っているのか分からない。その理解できない恐怖が、ネトウヨの心拍数をさらに加速させた

ネトウヨを囲む罵倒は、狩人自らを高揚させる言葉から、次第に日本人に蹂躙された彼らの人生の怨嗟のすすり泣きへと変わっていった
その空気の変容でネトウヨは全てを受け入れた。「もうどうにもならない」と生物としての本能が自身に教えたのだ

ネトウヨの最期の瞬間を知らせるかのように最後の問いが投げかけられた。「お前も俺たちを搾取したのか?」リーダーの野太い声にネトウヨは震えた
同時に師への決意を鈍らされた。「生きたい!死にたくない!助けてーー!」小学校の卒業証書授与式以来の大声だった
「話にならんな・・・」リーダーがネトウヨの脳天めがけて斧を振り上げた瞬間だった。
ネトウヨの脳みそがスパークした
「・・・ソヨ・・・」「ん?」「モ・・・ソヨ・・・」「何言ってんだ?日本語はわからんって言っ・・・」「モルゲッソヨ!」
その刹那、群衆の中から1人の若者が飛び出し、震えるネトウヨを背にかばい両手を広げ立ちふさがった
「この人は何も知らないと言っています」韓国の若者だった。若者は多彩な言語を操ると外国人グループを説得し解散させた

ネトウヨの何日も履きっぱなしの、何年も前にお母さんが買って来たスエットは糞尿まみれだった。
「何で嫌韓の俺なんかを助けたんだよチクショウ・・・」ネトウヨを敗北感と屈辱感が襲った

「『知らなかった』と言ったからですよ」韓国の若者は笑顔で答えた。「あ、日本語・・・」「話せますよ。一生懸命勉強しました」
「私は、『知らなかったこと』が悪とは思えません。『教えなかったこと』が罪なのです」
ネトウヨはまた泣いた。恐怖でも、屈辱でもない。感謝で泣いた。
そして次の瞬間、もう一つだけ知っていた韓国語が口からこぼれた。「カムサハムニダ・・・」生まれ変わったネトウヨが初めて口にした言葉だった