「米国の主な友好国で韓国だけが含まれた。いったい何を基準にして選んだのか」(韓国鉄鋼メーカー幹部)

米商務省は16日、通商拡大法232条に基づく調査報告書を発表し、韓国を含む12カ国・地域からの鉄鋼輸入に53%の関税を課すことをトランプ米大統領に提案した。通商拡大法232条は、大統領の職権で特定の輸入品が米国の安全保障を侵害しているかどうかを調べた後、輸入を制限したり、高率の関税をかけたりする強硬な貿易制裁措置だ。

これまで韓国政府は韓国が米国の同盟国である点を挙げ、韓国製鉄鋼は米国の安全保障には脅威にならないと強調してきた。韓国は昨年、32億6000万米ドルの鉄鋼を米国に輸出した。対米鉄鋼輸出で3位だ。米商務省は米国の最大の鉄鋼輸入先であるカナダ(1位)をはじめ、日本(7位)、ドイツ(8位)、台湾(9位)など米国の伝統的な友好国を対象から除外した。

米政府は正確な基準を明らかにしていないが、ロス米商務長官は米メディアの取材に対し、「対米輸出増加などを基準にした」と説明した。2011−17年の韓国の対米輸出増加率は42%だ。しかし、韓国と伸びがほぼ同じドイツ(40%)はもちろん、3倍に相当する台湾(113%)も対象に含まれなかった。

友好国が規制対象国から大部分除外された代わり、中国、ロシア、ブラジル、トルコ、南アフリカ、タイなどが含まれた。韓国鉄鋼協会の宋在彬(ソン・ジェビン)副会長は「今回の報告書にはかなり当惑している。12カ国・地域の選定基準は何なのか、なぜ韓国が含まれなければならなかったのか、疑いを持たざるを得ない」と述べた。韓国政府関係者も「正確な原因は分からない」とした。

今回の発表は、米国が最近、韓国に対し、化学製品、半導体、洗濯機などさまざまな品目で同時多発的に通商圧力を加える状況で決まったもので、韓国政府と貿易業界はさらに緊張している。ワシントンからはトランプ政権による相次ぐ制裁が政治的な動機によるものだとの観測も聞かれる。

ワシントンの通商消息筋は「トランプ政権が兵馬的には『貿易は貿易』『安保は安保』と一線を画しているが、「議会関係者に会うと、北朝鮮政策が混迷すれば、韓国に対する貿易圧力が高まるとしきりに警告してくる」という。

昨年6月に終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備延期論争が起きると、ホワイトハウスでは韓米自由貿易協定(FTA)を破棄する動きが本格化した。また、昨年11月に韓国政府が中国にいわゆる「3つのノー」(THAADを追加配備せず、米国のミサイル防衛に参加せず、韓米日軍事同盟を進めず)を表明した後、鉄鋼などに対する通商攻勢が強まったことを偶然と考えてはならないとの受け止めだ。

米商務省は今回の報告書で行き過ぎた鉄鋼輸入が「米国経済の弱体化を招き、国家安全保障を損ねるリスクがある」との結論を下した。鉄鋼産業の競争力を確保するためには、2011−16年に平均74%にとどまった生産設備の稼働率を80%以上に引き上げる必要があるとした。そして、鉄鋼輸入を昨年より37%減らす必要があると算出した。

米商務省は具体的に3つの規制案を示した。▲全ての国からの鉄鋼輸入を昨年の63%に制限するクオータ(輸入枠)を設定する▲全ての輸入鉄鋼製品に24%の関税を課す▲韓国、ブラジル、中国、インド、ロシアなど12カ国から輸入する鉄鋼に53%の関税をかけ、残る国については、前年水準に輸入を制限する−−というものだ。

トランプ大統領は4月11日までに商務部の規制案などを参考にしながら、最終的な規制案を示す予定だ。

韓国政府は4月までに最大限米国を説得する方針を明らかにしたが、制裁を回避するのは難しいというのが業界の見方だ。世界貿易機関(WTO)協定は加盟国が安全保障を理由に輸入制限を行うことを例外条項として認めており、これまでの貿易制裁とは異なり、国際機関を通じて決着をつけることもふさわしくはない。


2018/02/19 15:01
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