パキスタン南部カラチで、中国企業関係者が何者かに殺害された事件が波紋を広げている。パキスタンには、現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」参加に伴って中国人労働者の流入が続く一方で、“標的”となる事件が相次ぐためだ。パキスタンは1万5千人態勢で労働者の警備に当たり、計600億ドル(約6兆3千億円)という巨額投資を是が非でも守りたい考えだが、過度な中国依存を冷ややかに見る意見も聞こえる。(ニューデリー 森浩)

■明確な「中国人標的のテロ」

 事件が発生したのは5日午後のことだ。中国人2人が乗る車が何者かに襲われ、運輸会社「中遠海運集装箱運輸」(上海)から派遣されていた男性(46)が頭部を撃たれて死亡、もう1人も足を負傷した。

 ロイター通信や地元報道などによると、仕事上でのトラブルなのか、私怨なのか犯行理由は分かっていない。ただ、現場の状況から尾行された可能性が高く、「彼らは狙われた」という見方を強めている。無差別的な犯行ではなく、明確に2人をターゲットにした襲撃だったということだ。

 中国との関係悪化を避けたいパキスタンは早期の犯人検挙を目指しているが、犯人は見つかっていない。

 中国外務省の耿爽報道官は6日の記者会見で早速、「テロリストの中国国民に対する攻撃を厳しく非難する」とする声明を発表。パキスタン外務省も「われわれは中国人の安全を重視している」とのコメントを出し、国内に滞在する労働者を守るために尽力していくことを宣言した。

 捜査が膠着する中、パキスタン政府側からは“陰謀”を指摘する声が浮上している。アッサン・イクバール内務相は、英BBC放送とのインタビューで、インドの諜報機関が「中国とパキスタンの協力を妨害している」とした上で、「カラチでの中国国民の殺害は、スパイ活動と関連している。インドは(事件に)関与している可能性がある」と発言した。真偽は不明だが、謀略を強調することで、中国側の批判をかわす狙いもあるもようだ。

 さらに「悪質な計画は成功しない。パキスタンと中国の関係はさらに強固なものとなる」とも述べ、中国との密接な間柄を誇示した。

(以下略、続きはソースでご確認下さい)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180221-00000502-san-asia
産経新聞