http://www.sankei.com/west/news/180222/wst1802220002-n1.html

 外国人観光客も多い中国と韓国の高級ホテルで、清掃員がトイレとコップを同じブラシで洗うなどの想像を絶する動画や映像が次々とあからさまになっている。観光産業は各国が経済活性化策として強化している分野だが、こうした映像のようにモラル破壊がさらに進行すれば、アジア地域のイメージダウンや外国人観光客の減少を引き起こしかねない。

中国で隠し撮り映像

 中国の黒竜江省ハルビンにある高級ホテルでは、客室を隠し撮りしたという動画がインターネット上に公開され、「ハルビン・ケンピンスキーホテル」の清掃員が同じブラシで便器やグラスを掃除しているとする姿が暴露された。

 世界展開する名の通った高級ホテルでも似たような客を欺く掃除が行われていたという。

 朝鮮日報(電子版)によると、「TV朝鮮」の番組が韓国・ソウル市内の5つ星ホテル3カ所の実態を報じ、ここでも衝撃的な映像が公開された。

 1泊1人当たり2〜3万円するホテルだが、スポンジを手に持った清掃員は便器内の水を使って便器を清掃し、そのまま同じスポンジで客室内のコップを“洗った”というものだ。

 洗ったという手の動きとは正反対に、コップはひどく汚れ、場合によっては病気になりかねない菌などを付着させているという状況でもある。

宿泊客は思いもせず

 そして驚くべきことは、実態調査を実施した3つのホテルすべてで似たようなことが行われていたことだった。

 トイレを掃除したスポンジやブラシで、客室内のグラスやコップを“ゴシゴシ”と洗われていることを予測して宿泊する客がいるだろうか。

 清掃員はそうした利用客が疑いもなく“きれい”だと信じて客室を使用している状況を利用し、自身の仕事の手を抜いているといえる。

 しかも、その行為が楽に仕事を済ませようという次元の問題ではなく、宿泊客を危険にさらす行為であることに気付いていないのか、罪悪感を感じないのか、モラル破壊の恐ろしさを浮き彫りにしている。

構造的な問題?

 韓国は平昌五輪を開催し、観光は重要産業の一つであるはずだが、同番組の調査結果から類推すれば、他のホテルでも似たようなことが行われているかもしれない。

 高級ホテルは豪華な内装や質の高い接客サービスというイメージが強いが、トイレやコップの掃除という見えにくいところで蛮行が繰り広げられているようだ。

 報道によると、基本給への上乗せを目指して多くの部屋を掃除するため、1部屋当たりの清掃時間を短縮する傾向があるという。

 中国や韓国のホテルで起きているとされるモラル破壊が社会の構造的な問題なのかは不明だが、観光客側も自身で防衛策を講じる必要がありそうだ。