首脳会談が実現しても、トランプ氏が金正恩氏に対し(1)核・化学・細菌兵器の完全廃棄(2)核・化学・細菌兵器の実験や運搬手段たる弾道ミサイルの完全廃棄(3)検証可能で不可逆的な完全廃棄(4)非人道行為の完全停止…など、当然とはいえ、北朝鮮には高ハードルの要求をセットで繰り出すシナリオは否定できない。筆者は、国際査察機関の常続的駐留をも求めると推測している。

 北朝鮮側が軍事演習や高ハードルの要求に「反発」して「核・ミサイル開発」を継続する恐れは高い。が、「核・ミサイル開発」継続は不動の既定路線であり、「反発」もかねて用意の演技に過ぎない。

 いや、むしろトランプ政権内外の関係者・専門家の半数以上は、北朝鮮が核・ミサイル開発継続を宣言する「その時」を待っているとする情報を、筆者は得ている。今回の米朝の「対話ムード醸成」は事実上の「最後通牒」との“裏面”に注目し、わが国も準備を進める必要がある。

 もちろん、トランプ政権は戦争を避けたい。現に、金正恩氏の会談要請を説明すべく訪米した韓国高官らは当初、8日にマティス国防長官らと会談した後、翌9日にトランプ氏と会う予定だった。だが、トランプ氏はいきなり8日に会い、金正恩氏と会談する旨を即答した。