https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180326/k10011379481000.html
3月26日 20時20分

韓国で大統領経験者が逮捕される事態が後を絶たないのは、大統領の権限が強すぎて不正が起きやすいためだという認識が広がる中、ムン・ジェイン(文在寅)大統領は、大統領の人事権縮小や地方分権の推進を盛り込んだ憲法改正案を国会に提出しました。

韓国では、パク・クネ(朴槿恵)前大統領とイ・ミョンバク(李明博)元大統領が相次いで収賄などの疑いで逮捕され、こうした事態が後を絶たないのは、「帝王的」とも評されるほど大統領に権限が集中して不正が起きやすいためだとして、憲法を改正して権力を縮小すべきだという機運が高まっています。

こうした中、26日、ムン・ジェイン大統領の改憲案が国会に提出されました。改憲案には、1期5年限りで再選が認められていない大統領の任期を、4年に短縮して1度までは再選可能にすることが盛り込まれました。

また、大統領の権限縮小の具体案として、憲法裁判所長を任命できないようにすることや、恩赦を出すのに制限をかけることなどがあり、さらに、「地方自治団体」を「地方政府」に改めるなど、地方分権を進める内容が含まれました。

しかし、保守系の野党は、現在は大統領が任命する首相については「国会が選出してより大きな権限を持たせるべきだ」として、国会の役割をさらに強化するべきだと主張しています。

また、大統領の改憲案に、「労働者と経営者は対等」、「土地は公のものだという概念」などが含まれたことに対し、「社会主義的だ」と強く反発しています。

改憲案は、これから国会で60日間審議され、3分の2以上の賛成が得られれば国民投票にかけられますが、与党だけでは及ばないため、内容をめぐって与野党の意見調整が進むかが注目されます。