3月27日 12時08分

去年11月、北海道松前町沖の無人島の小屋から家電製品などを盗んだ罪に問われた北朝鮮の木造船の船長に対し、函館地方裁判所は「悪質な犯行だが犯行を認め、反省の態度を示している」などとして、執行猶予のついた有罪判決を言い渡しました。船長は今後、強制退去に向けた手続きが進められます。

北朝鮮の木造船の船長、カン・ミョンハク被告(45)は去年11月、北海道松前町沖の無人島「松前小島」に上陸した際、ほかの乗組員とともに小屋や灯台などにあった発電機や家電製品など39点、金額にしておよそ565万円分を盗んだとして窃盗の罪に問われました。

裁判で船長は起訴された内容を認め、検察が懲役2年6か月を求刑していました。

判決で函館地方裁判所の橋本健裁判長は「被告の主導で物品を盗んだ悪質な犯行で、被害総額も高額だ。被告は盗んだ物品を自分や乗組員らで分配したり、漁船を安全に航行させるため重りにしたりするために犯行に及んだというが、許されるものではない」などと指摘しました。
一方で「犯行を認め、反省の態度を示している」などとして、懲役2年6か月、執行猶予4年を言い渡しました。

船長は札幌入国管理局に送られ、今後、強制退去に向けた手続きが進められます。
木造船の乗組員10人のうち、船長と結核で入院中の1人を除く8人はすでに北朝鮮に強制送還されています。

漁協組合長「厳しい判決を希望していたが」

被害を受けた無人島の小屋を所有する松前さくら漁業協同組合の佐藤正美組合長は、裁判を傍聴したあとで報道各社の取材に応じ「事件の背景には北朝鮮の木造船によるイカ釣りの違法操業があるが、裁判ではその実態が明らかにならず、中途半端に終わってしまった。厳しい判決を希望していたが、執行猶予のついた判決になり残念だ」と述べました。

朝鮮総連「一日も早く帰れるよう努力」

判決について朝鮮総連=在日本朝鮮人総連合会函館支部はNHKの取材に対し「私たちは彼らが愛する祖国と家族のもとに一日でも早く帰れるよう引き続き努力していく」と話しています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180327/k10011380581000.html