IDIOT 愚か者 と、CRACY を掛け合わせて、
馬鹿社会 とでも言うのだろうが、

デモクラシーで民主主義、
ビューロクラシーで、官僚主義、
アリストクラシーで貴族政治、
カキストクラシーで、衆愚政治、
それに加えてこの、イディオクラシー、
つまりは、バカによるバカのためのバカの国、という意味か

この原題となったのがマイク・ジャッジ、
言わずとしれたあの「ビーバス・アンド・バットヘッド」で一世を風靡した鬼才、
それが2006年に手掛けた、ブラック・ユーモア満載のSF映画、とのことだったのだが
正直に言ってそれほど大ヒット、は愚か、話題になっていた、という記憶もない

あらすじとしては、この映画の制作当時2005年、
つまりはいまからちょい10年あまり前、
軍部の極秘実験のモルモットとして冬眠させられた凡人男、
それがすっかり忘れられたまま500年後に目を覚ましてみれば、
その未来世界、人類の英知がの行き着いた超文明社会、と思いきや、
それはまさに、退化するだけ退化を極めた、馬鹿の馬鹿による馬鹿しかいない未来世界

その理由は、と言えば、

高IQの出来の良い人間たちが、
やれ、計画出産だ、経済的余裕だ、仕事だ、キャリアだ、
となんだかんだで出産率は低下の一途

それに引き換え、馬鹿たちは、
なにも考えずにポンポンと子供を作っては産み捨てて、
とやっているうちに、世界はすっかり、馬鹿ばかりが増えに増え続けたバカ社会
その結果、500年後には、まさに、地球上には劣性遺伝子の人類しか生存していない、
地獄のような馬鹿社会になっていた

この設定だけでも十分に面白い訳だが、この素晴らしすぎる設定に負けてしまってか、
映画としてはほとんどなにも見るもののない、愚作も愚作ではあった、
というのもこの映画が10年間にも渡ってほとんど塩漬け状態であったことの理由なのだがろうが、
果たしてこの冒頭に告げられるこの設定

この映画が作成されて10年後、
この世界がバカばかりになっていくその必然が、
近年になって、まさに本気の本気で洒落にならないことになっていた、という訳で、
いやあ、さすがにマイク・ジャッジ、そのしっぺ返しが10年後とは、まさに、やってくれる

という訳で、そっか、馬鹿の馬鹿による馬鹿ばかりの世界、ってことか。
そう、実は、日常においても、そんなことを思うことが多かったんだよね、最近、と・く・に

ただ、そう、そういうことであれば、もう馬鹿ばかり、と割り切ってしまえば、
それはそれで楽しめるのかな、という気がしないでもない、と。

という訳で、この近未来へのブラック・ユーモアSF、

名作的には、かの、未来世紀ブラジルってのがあって、
ただ、そう、最近になってこの未来世紀ブラジル、
まさに、え?なに、これ、あまりにも普通、というか、
まさに、あの悪夢の未来世紀を、この眼の前の現実が完全に凌駕している、
というか、すっかり出し抜かれてしまった、という事実を思い知らされることになる