20年前、京郷新聞に「天皇(チョンファン)」と「日王(イルワン)」の呼称論議を扱った記事が載りました。

当時のパク・ジョンス外交通商部長官は外信記者招待記者懇談会で「天皇が韓国政府の公式呼称か」という質問に「天皇が固有名詞なのに加え、日本人たちが天皇と呼ぶだけに、私たちも天皇と呼ぶのは当然だ」と話して物議を醸しました。

外交通商部は1989年、在日同胞指紋押捺問題の波紋から対日感情が悪化してメディアが日王表記を始めて以来、天皇と日王の中間ほどの「日皇(イルファン)」という呼称を使ってきました。結局、5カ月後に金大中(キム・デジュン)大統領の訪日を控えて韓国政府は天皇呼称の使用を公式化しました。

しかし、政府の立場が一貫していたわけではありません。李明博(イ・ミョンバク)大統領は就任直後の2008年4月、明仁日王と会って彼を「天皇」と表記しましたが、任期末の2012年8月には独島(ドクト、日本名:竹島)を直接訪問して天皇の謝罪を要求した時は「日王」という表現を使いました。

韓日関係が冷・温湯を行き来しながら呼称もその時ごとに変わったということです。

韓国人が天皇呼称に拒否感を感じるのは36年間の植民支配を招いた天皇制軍国主義に対する記憶のためです。「天下を支配する皇帝」という意味の天皇と実際の日本王の地位は距離が遠いという指摘もあります。反面、今の天皇は政治権力と関係のない象徴的存在にすぎず、天皇が日本特有の呼称で固有名詞であるだけに、そのまま呼ぶのが正しいという主張もあります。

私たちに劣らず日本と歴史的仇怨関係にある中国も天皇呼称を使っており、日本と戦争を行った米国も「Emperor」という公式表記を使っています。

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▲東日本大地震当時、対国民テレビ演説をする明仁日王。日本宮内庁提供

現在の大部分の国内メディアは天皇の代わりに日王という表現を使っています。京郷新聞も昨年、明仁退位関連記事で日王と表記しました。

韓日協力功労で大韓民国修交勲章を受けた故・若宮啓文、朝日新聞主筆は2015年、韓国日報寄稿文で次のように書きました。「私は『日王』という漢字を見るたびに、なんとなくラーメンを思い出す。日本の日清食品が作った『日清ラ王』というカップラーメンがあって『日王』はそれを連想させる。『ラ王』は『ラーメンの王』だ。冗談のように聞こえるかも知れないが、取ってつけた様な『日王』という呼称にほとんどすべての日本人が侮辱されたような感じを持つのは間違いない。」

韓日関係の改善に天皇呼称もかなり大きな影響を及ぼすという主張です。未来指向的韓日関係を悩む方なら誰でも十分に考えるべきポイントです。ただし韓日関係には論理以外の部分も強く作用する点で、報道機関と言衆の習慣が変わるまで、今後もさらに多くの時間が流れなければならないと見られます。
(後略)

キム・ヒョンギュ記者

ソース:京郷新聞(韓国語) [かなり以前「この日」]5月14日天皇か日王か
http://h2.khan.co.kr/201805140005001